こんばんは、スタジオ真榊です。今回は、AIを使った漫画作りの現在地を検証する連載「AI漫画の作り方」の第1回です。「AI漫画」と一口にいっても作り方はさまざまで、GPT Image2.5やNovelAI、Animaなど使えるモデルも多種多様。2026年秋冬時点の人気モデルで漫画作りをするなら、どのようなやり方がよいのかをまとめます。

この連載では、先進的な「AI漫画表現」を極める方向ではなく、AIを使っていても違和感なく読める「普通の漫画」に近づけるには何が必要か、2026年秋時点の技術でどこまで可能なのかを検証したいと思っています。第1回では、まずAI漫画の定義と代表的な作り方を整理した上で、初心者が挑戦すると不自然で退屈になってしまう理由と対策を掘り下げています。

私もAIがきっかけで漫画を学び始めた初学者のひとりですので、漫画技術を上から目線で教えるようなことはできません。その代わりに、AIで漫画を始めるのに最適な教本を紹介しながら、通常のコマ割りの発想とAI漫画生成の発想がどう異なり、どう学べば自然で面白い漫画にできるのか、これまで試行錯誤して分かってきたことを報告したいと思います。【約1万8000字】

1.AI漫画の定義

「AI漫画」という言葉にはさまざまな定義ができますが、この連載ではひとまず

①生成AIが人物や背景などの主要な作画を担い、

②その生成物が完成原稿に残っている漫画作品

・・・と定義することにします。

例えば、ストーリーの壁打ち役にLLMを使ったり、手描き漫画の一部(背景や小物など)に生成画像を使ったりしたものは、AI漫画ではなく「AI補助したふつうの漫画」と考えることにします。いったん全ページをAIで生成したのち、すべてを手で描き直した場合は、作品内に何一つ生成物が残らないので、これも「ふつうの漫画」ということになります。

次に整理しておきたいのは、漫画は通常、作家の「技術+センス+労力」の三つが重なってできあがる総合芸術だということです。「読者に意図を伝えるのが技術、面白いと思ってもらえるのがセンス」「それに加えて相当な労力がないとできあがらない」というのが漫画の常識だったところ、姑息にもその一部、または全部をAIでスキップしてしまおうという試みが「AI漫画」ということですね。

1.AI漫画の定義:図版1

しかし、というかそれゆえに、AI漫画はたいていの場合不自然になるか、自然でも退屈な仕上がりになってしまうのはご承知のとおり。これは多くの場合、モデルが日本漫画のルールを把握しておらず、ユーザー側にも正しく直す技術・センスがない、もしくは必要な労力を割いていないためです。

とはいえ、「AI漫画は基本つまんないので、みんな技術とセンスを磨いて手で描けるようになりましょう!」と言っても始まりません。この連載で目指すのは、私と同様に漫画制作の経験が全くないユーザーが、AI漫画制作に特化して最低限必要な技術とセンスを最短距離で身に着け、AIを使って低労力で楽しく漫画作りができるメソッドを組み立てることです。その上で、手で描いたのと比肩するような「自然で、面白いAI漫画」ににじりよっていくにはどうしたらいいかを検証していきたいと思います。

2.AI漫画、三つの作り方

さて、AIに主要な作画を任せる「AI漫画」にはどのような作り方があるのでしょうか。生成技術が洗練されるにつれて、今後また手法も変化していくと思いますが、今回の連載では便宜的に、以下の3つに分類したいと思います。

手法① text-to-manga:人間が書いた文章を、AIが漫画の形に生成する

手法② img-to-manga:生成した絵を人間が漫画の形に組み上げる

手法③ name-to-manga:人間が作ったネームをAIが清書する

例えば、NovelAIやChatGPTといった賢いモデルにテキストで指示して、1ページまるまる生成するのは①。あらかじめ1コマずつ必要な絵を生成して、自分で漫画のかたちに並べるやり方は②です。以前スタジオ真榊で制作したR-18漫画「奪妻契約」は、SDXL画像を自分でimg-to-mangaしたものということになります。

今回の連載ではこの3つの手法を踏まえた上で、CodexやGPT Image2.5、ADetailer、Animaといったモデルや技術を効果的に組み合わせることで、「より自然で面白いAI漫画」を作る手法を検証していくことにします。ユーザー自身の「技術・センス・労力」を無闇に求めるのではなく、しっかりAIの恩恵を得て、ラクで楽しい漫画作り体験にすることが大前提です。

手法① AIが漫画をつくる"text-to-manga"

「3つの作り方」についてもう少し詳しく見てみましょう。いちばん手軽なのは、作りたい漫画の内容を人間が言葉で説明し、AIに自由に作ってもらうやり方。text-to-imageの漫画版なので、「text-to-manga」と呼ぶことにします。GPT Image2.5やNanoBananaProといった現行の画像系モデルは、雑な指示でもコマ割り・フキダシ・セリフ配置を考えて、数十秒~10分程度で1ページ仕上げることができます。

こちらは、複数回の思考を積み重ねられるChatGPTのWorkモード(モデルはGPT-6 Astraの"高")で、「コーヒー」をお題にしたギャグ4コマを作らせた例。今回の検証で組んだ「漫画スキル」を内部的に読み込んでいるので、日本漫画のルールをある程度理解しています。

手法① AIが漫画をつくる"text-to-manga":図版1

ChatGPTの画像生成は、「n=10」と付けると10枚同時生成ができるので、ネタにつまったときクリシェ(陳腐・定番)な案をぱっと出してくれて大変便利。chatモードではなくworkモードを使うと、間違いがないか何度も検討し直しながら再帰的に作品を仕上げることができます。(この生成例はworkモードなので、10枚のうち4枚を要修正と判断。自動で再生成したので、計14枚出力されています)

修正前の4つを除いた10パターンがこちら。真面目に読まなくてよいので、最新のChatGPTの実力はどんなもんなのか、ざっと見て頂ければと思います。

手法① AIが漫画をつくる"text-to-manga":図版2

GPT-6世代の中では最も創造的な高級モデル「Astra」を使い、かつ漫画スキルも適用しているので、一年前のAI漫画に比べるとかなり自然にはなってきています。が、やっぱりすらっと読めて素直に笑える漫画というにはまだまだですかね。いくつかのネタはきちんと工夫すれば面白くできそうな感じがしますが、フリとオチの意図が初見でちゃんと伝わる4コマにするには、もう少し人間の手助けがいりそうです。

<キャラ資料をリファレンスさせよう>

上記の例は純粋なtext-to-mangaの例として、あくまでテキストのみで画像生成しましたが、今はキャラクターの容姿などを画像でリファレンス(参照)させるやり方のほうが主流でしょう。プロンプト自体も、先ほどのように「○○をテーマにしてギャグ4コマを作って」といった単純な指示だけでなく、コマ割りの全体像から人物の配置、台詞、タッチまで人間がしっかり指示するやり方ももちろん可能です。

ミナちゃんの画像を参照させた4コマの例

         ▲ミナちゃんの画像を参照させた4コマの例

下の図はChatGPT-6世代のLuna(軽量型)、Sol(バランス型)、Astra(重量型)を使い、それぞれ全く同じプロンプトとキャラ画像を与えて生成した4コマです。与えたのは「遅刻」というお題だけですが、右のAstraは、他のモデルより自然なフリとオチを演出できているように見えます。(画像生成自体はいずれもGPT Image2.5が担当)

クリックして拡大

               ▲クリックして拡大

一方、ネタ自体を人間が考え、コマごとに何がどう描かれるかを細かく指示した場合は下図のようになります。これは前・覇権モデルのNanoBananaProにミナちゃんの容姿を与えて生成させたおなじみの4コマ。今回の連載では、このやり方をさらに進めた手法を検討していくことになります。

キャラ資料をリファレンスさせよう:図版1

手法② 人間が漫画にする"img-to-manga"

2つ目のやり方は、ユーザーが自分でコマ割りを作り、生成した画像を並べて、フキダシや擬音を自分で付けていく手法です。バラバラの生成画像を人間が漫画にしていく方法なので、「img-to-manga」と呼ぶことにします。

手法② 人間が漫画にする"img-to-manga":図版1

text-to-mangaと違って漫画にするのはAIでなくユーザー自身ですので、1p丸投げ生成と違ってどうしても手間が掛かりますし、コマ割りや適切な背景、表情などを判断できる最低限の技術とセンス(=漫画力)が求められます。2025年11月に「NanoBananaPro」が登場するまでは、text-to-mangaを自律的にできるほどモデルの性能が良くありませんでしたので、当時SNSやFANZAなどで公開されていたAI漫画の大半はimg-to-mangaの手法で作られていたのではないかと思います。

img-to-mangaの特色の一つとして、NSFW生成が自由なことが挙げられます。ChatGPTやNanoBananaなどに過激な内容の漫画生成を頼むと断られてしまいますが、ローカルモデルやNovelAIなどで生成した画像を人間が並べる手法なら、そうしたプラットフォーム制限に縛られることがなくなります。

以前img-to-manga形式で作った「奪妻契約」の1ページ

      ▲以前img-to-manga形式で作った「奪妻契約」の1ページ

また、1ページ丸ごと生成するtext-to-mangaと違い、作品の編集性が高いのもポイント。複数ページの作品の場合、以前作ったページのフキダシ・キャラ・コマの位置や内容をあとから調整する必要にかられることがよくありますが、1ページ丸ごと生成したAI漫画はレイヤーが統合された状態ですので、あとから差し替えるのが大変。「img-to-manga」で作った漫画は比較的後天的な調整が利きますので、漫画制作に慣れている人はこちらの方がやりやすいかと思います。

ちなみに、NovelAI v5が登場しNSFW漫画のtext-to-manga生成も可能になりつつあるので、「R-18表現はimg-to-mangaの専売特許」とは言えなくなってきています。

今後は

・AIを駆使して楽しくスピーディに制作を進めたい人はtext-to-manga(短編向き)

・ひとりで漫画を作れる技術とセンスがあり、品質にこだわりたい人はimg-to-manga(中長編向き)

という棲み分けが進むかもしれません。

手法③ 人間が設計図を作る"name-to-manga"

3つ目は、人間がコマ割りした漫画の設計図(ネーム)をAIに清書してもらうケース。和製英語すぎるかもしれませんが、ここでは「name-to-manga」と呼ぶことにします。人間が仕上がりに関与する割合が①よりも大きく、②よりも小さい、折衷案のような位置付けの手法です。

もちろん、漫画家さんが描くようなきちんとしたネームが描けなくても、キャラの位置を丸や棒で置いた「棒人間ネーム」や、コマ割りに文字や吹き出し位置だけを置いただけの「文字ネーム」でOK。プロンプトによって結果は大きく変わりますが、AIはかなり意図を汲んでくれるようになってきています。

コピー紙に手描きした棒人間ネームをChatGPTに読み込ませた例

     ▲コピー紙に手描きした棒人間ネームをChatGPTに読み込ませた例

たとえばこちらは、GPT Image2.5にネームを与えて、意図通りの絵で埋められるか試した実験です。1枚目は人物部分が空っぽでセリフや擬音だけが配置されたネームで、2枚目がそこに描かれるべき人物のイラストです。

手法③ 人間が設計図を作る"name-to-manga":図版1

こちらが入力した棒人間ネームと生成結果。

手法③ 人間が設計図を作る"name-to-manga":図版2

左右をよく見比べると正確に空のコマを埋めたわけではなく、コマ割りや擬音の位置がずれていたり、絵の内容も少し変わっていたりしていることが分かります。プロンプトでどう処理させるかにもよりますが、現行のChatGPTで普通に生成する場合、渡すネームはあくまで「リファレンスするイメージの一つ」と考えておいたほうがよさそう。

指定したネームがあいまいなほど絵は自然に、厳格に守らせるほど不自然になる傾向がありますので、どのくらい細かくネームで指示するかが重要になります。text-to-mangaではモデルにうまく理解してもらえないような、難しい条件のページの場合に役立つことが多いです。

<3つの手法の比較>

いま紹介した3つの手法は、それぞれ「人間とAIがそれぞれ漫画制作のどの部分を担当するか」が異なります。ざっくり分担表を作ると、こんな感じになるでしょうか。

3つの手法の比較:図版1

完成までの手間だけで言えば、ページを一発でtext-to-mangaするのが一番ラクに見えますが、完成図が頭の中にはっきりある場合、思い通りにならず修正地獄に陥ることもままあります。反対に、まだ話のイメージが固まっていない段階なら、とりあえずあれこれ案出しして「これは違う」「この表情はよい」と文句をつけてだんだんと理想に近づけていく…という方法もありそう。どれかに統一して作らなくてはならないというわけではありませんので、作りたいページによって適した方法を使い分けるのがよいと思います。

<絵柄統一の壁>

ただ、三つの手法のうちどれを選ぶかでネックになることとして、絵柄統一の問題があります。GPT Image2.5やNanoBananaProといったモデルはLoRAなどで学習しなくても、画像を参照させるだけで容姿をかなり真似られるようになりましたが、まだまだ完璧とは言えません。特にNovelAI v5はまだリファレンス機能が未搭載ですので、オリジナルキャラの容姿や画風を統一するのが難しい問題があります。

自分の画風や作家性をしっかり維持して、一貫性を保つことは大切な創作過程です。GPT Image2.5はかなり画風を再現できるようにはなっていますが、表情が動くとキャラの印象が違ってしまうこともまだまだあります。そこで、いったん漫画をあらあら作った上で、最後に自分らしい画風に調整したローカルモデルを使って「一斉ADetailer」するという手法があります。

詳しくは第2回以降に紹介しますが、今回の連載ではこのような絵柄の一貫性・作家性の維持についても深掘りしていきたいと思います。

いろいろな画風のミナちゃん。タッチや頭身を統一しないと漫画にならない

   ▲いろいろな画風のミナちゃん。タッチや頭身を統一しないと漫画にならない