こんばんは、スタジオ真榊です。この記事は、PCの中に"常駐"して環境構築から創作補助、アプリ製作までなんでも助けてくれる「AIエージェント」の始め方を解説する超入門記事です。

先日サイトで公開したイカサマ麻雀ゲーム「鬼怒川さんが振り込むはずはない」も、AIエージェントと一緒に作ったもの。プログラミングやゲーム開発の知識がなくても、具体的なイメージを言葉で伝え、できたものに文句を言っていくうちに、こうしたプロダクトを作り上げることができます。

ChatGPTがウェブサイト上で悩みごとに答えてくれる相談相手だとしたら、AIエージェントはユーザーが目を離している間に手を動かして成果物を作ってくれる、妖精や小人のような存在です。今回の記事では、まずOpenAIの「ChatGPTデスクトップアプリ」を導入して、代表的なエージェント「Codex」の使い方をチェック。記事の最後には、もう一つの有力な選択肢であるAnthropicの「Claude Code」も紹介し、どちらに課金すべきか、どう使い分けるかについても掘り下げています。【約2万字】

(※記事中の情報は2026年10月1日現在。モデルや料金は短期間で移り変わるため、必ず公式サイトをご確認ください。ドル建ての料金は分かりやすいよう日本円換算していますが、こちらも変動します)

1.AIエージェントとは何か

「AIエージェント(代理人)」とは、「これをやっておいて」と頼むと、完成までの計画を自分で立て、外部ツールも駆使しながら目標達成まで働き続けてくれるAIのことです。問いかけに対して一つのアクションで終わるChatGPTなどのチャットBotとは違い、必要ならPCの中を閲覧したり編集したりして、まるでPCの中に常駐している秘書のように振る舞うことができます。

OpenAI社の「Codex」やAnthropic社の「Claude Code」がその代表格。どちらも名前に「Code」と付いているように、最初はPythonやJavaScriptといったコンピューター言語を使ってアプリを作る、技術者向けの「コーディング(プログラミング)専用AI」でした。現在はそこから大きく飛躍し、資料作りやメールの返信といった日常業務から、アプリ開発やサイト構築、コンテンツ制作まで、幅広い作業を任せられる存在になっています。

1.AIエージェントとは何か:図版1

ちょっとややこしいのですが、CodexやClaude Codeはサービス名であって、モデル名ではありません。実際に秘書として奔走してくれるのは「GPT-6 Astra」や「Claude Fable 5」といったLLM(大規模言語モデル)です。「気軽に使えて成果を出すのも早いけど、精度はそこそこ」の軽量モデルから、「すぐに使用量を使い果たしてしまうけど、とんでもない精度のプロダクトを作れる」横綱級モデルまで、企業によってラインナップはさまざま。各社怒涛のアップデートで王座を競っています。

<ChatGPTと何が違う?>

近年は10代からビジネスパーソンまで、ChatGPTに悩みごとを相談したり、ちょっとした文章や画像の生成を任せたりするのが当たり前の時代になりました。「チャッピー」と愛称で呼ばれるようになったChatGPTは、ご存じの通り質問すると「やり方」をチャット形式で答えてくれるモデルですが、AIエージェントはチャッピーと異なり、やり方を口で教えるのではなく、実際に手を動かして「ものづくり」をしてくれます。

例えば、「ローカルで画像生成しようとしたらなぜか起動しなくなったんだけど」とChatGPTに聞くと、原因の候補と直し方が箇条書きで返ってきますよね。それを読んで手を動かすのは、これまで人間の仕事でした。一方、CodexのようなAIエージェントに同じことを頼むと、原因を突き止めるところから修正、再起動しての確認までを全部やって、「直りました。原因はこうでした」と報告してくれるわけです。

実際に見てみましょう。こちらは、ChatGPTのデスクトップアプリが起動しなくなったのを、ライバルのClaude Codeに泣きついたところ。特別なプロンプトは必要なく、ロゴ画面でフリーズしているスクリーンショットを渡して状況を伝えるだけで、「直して」と言わなくてもすぐに対応してくれます。

ChatGPTと何が違う?:図版1

数分放っておくと、あっさり原因を突き止めて修正してくれました。

ChatGPTと何が違う?:図版2

こうしたトラブル対応だけでなく、「Irodori-TTSの新しいのが出たから環境構築しておいて」とか「このキャラクターのイカサマ麻雀ゲームを作りたい」といったざっくりしたリクエストにも幅広く対応可能。契約(使用量制限)の続く限り同時多発的に作業を続けてくれるので、アイデア次第で自分のアウトプットを最大化することができます。

<AIエージェントは"通い"の秘書さん>

ちなみに、AIエージェントは「自分のPCの中に常駐しているかのように振る舞える」だけで、モデルそのものをローカル環境で動かしているわけではありません。妖精さんがWebを介してPC内をいじっているような仕組みなので、正確に例えるなら「住み込みではなく、通いの秘書さん」というところでしょうか。

PC内に住んでいるわけではない

           ▲PC内に住んでいるわけではない

そのため、ローカル画像生成などと違ってVRAMが心許ないマシンでもAIエージェントは問題なく動かすことができますが、VRAM不足の環境だとCodexも自由にローカル生成ができないので、音声や画像、動画とコーディングを組み合わせてゲームやアプリを完成させたい場合はやはり強いGPUがあった方が良い、ということになります。

<得意なこと、苦手なこと>

もう一つ注意しておきたいのは、Codexは「ChatGPTの上位版ではない」ということ。例えば画像生成やちょっとした相談ごとならChatGPTのほうが手軽で、入力した画像のバリエーションを10枚同時生成することもできますし、Codexの週間使用量(後述)も消費しません。普通のチャッピーでもできることをCodexに頼むと無駄に残量を消費してしまうので、それぞれのモードの得意不得意を理解して、的確に使い分ける必要があります。

単なるバリエーション生成ならChatGPTでOK

       ▲単なるバリエーション生成ならChatGPTでOK

エージェントが得意なのは、工程をまとめて任せ、放置できるような作業です。例えばゲームを作りたいなら、ワンショットで(1回の指示で完成まで)作らせるのではなく、まずユーザーがSDXLやNovelAIでキャラクターの画像を用意したり、おおまかなシナリオややりたいことを文章として書き出したりして、それをエージェントに任せるようなやり方がおすすめ。キャラクターデザインやシナリオから全て丸投げしてしまうと、イメージと違うものになってしまいがちです。

複数の作業が入り交じる環境の修理、自分専用の道具作り、面倒な手作業の自動化がエージェントの本領。複数ページの漫画作りや動画作り、サイト構築なども、コマ割りや画像生成、写植やチェックなどの複雑なワークフローが組み合うので、エージェント向きということができます。

<音声や動画の自動化>

AIエージェントを創作に役立てる例として、画像・音声・音楽・動画・ゲーム・ウェブサイトといった複数ジャンルを組み合わせたコンテンツ作りがあります。

画像や音声を単発で作るなら、SDXLやIrodori-TTS、MiniMaxH3といった「専門家」のAIモデルで十分ですが、これらをAIエージェントが直接動かせる環境さえ作れば、「SDXLで作ったキャラ画像をもとにGPT Image2.5で10パターンの立ち絵を作り、Irodori-TTSでセリフを数パターン音声化して、良いものをユーザーが選び、MiniMax H3で口パク動画にする」といった複合作業を流れるように展開することができます。

例えばこちらは、Codexを使って作ったイベント用のCM動画。ユーザー(私)が用意したのはセリフとミナちゃんの立ち絵1枚だけで、あとは全てCodexがIrodori-TTSやGPT Image2.5、MiniMax H3などを組み合わせて動画にしています。

展示用_NoteBinder_CM

エージェントの登場で、ForgeNeoやComfyUIといったwebUIを開いて自分の手で操作する機会はめっきり減りました。作業すればするほど自分の好みや覚えておいてほしいことが「スキル」(後述)として蓄積されていくので、AIエージェントはなくてはならない相棒となりつつあります。

2.課金すべきか、課金すると何が変わるか

さて、AIエージェントを相棒にする前に、避けて通れないのがお金の話です。OpenAIのFree(無料)プランでは、「Work」モードや「Codex」モードも一応は使えますが、軽作業向けの小さな枠だけ。各モードで使えるモデルも軽量級のものに限られます。

つまり、無料版で体験できるのは「AIエージェントってこういう感じなのね」という雰囲気まで。さきほど紹介したようなゲーム作りや環境整備をやらせると、あっという間に枠(プランごとに割り振られる週間使用量)を使い切ってしまいます。よって、この特集では初心者にも「まずはChatGPTの3000円のプランを課金してみましょう」と強くおすすめしています。

<創作者目線で見るOpenAIプランの違い>

2026年9月末時点の個人向けプランは、日本円建てでこのようになっています。

・Free:0円。軽量級モデルを使った軽作業を想定。チャットの「音声モード」も一応使える(軽量モデル)

・Go:約1,400円。Freeとほぼ同じ内容だが、チャットや画像生成、音声でのやりとりができる枠がやや広がる(広告あり)

・Plus:約3,000円のスタンダードプラン。WorkとCodexが本格的に使え、画像生成枠も拡張。日本語で流暢に会話できる音声モデル(GPT-Live-1)が利用可能になり、メールやカレンダーとも連携できる

・Pro:約16,800円、3万円、8万円の3プランから選べる。Plusの5倍以上の枠が使えるようになり、最上位モデルを常用可能に。話題のプッシュ型常時稼働エージェント「dots」が解放

創作者目線で見るOpenAIプランの違い:図版1

個人的な感想としては、「Plus」がエージェントを使い始める最低ライン。「Pro」は月に何本もゲームやツールを並行開発するようになってから考えれば十分で、最初から必要なものではありません。(料金設定は短期間で変更されることがあるので、かならずこちらの公式サイトから最新情報を確認することをおすすめします)

<課金したら、何が変わるのか>

無料版から「Plus」にすると、どう変わるかをもう少し詳しく説明します。

・「Workモード」と「Codexモード」の枠が本格的作業に耐える量になり、しっかりしたゲームやツールを最後まで作れる

・選べるモデルが増える(無料版で使える軽量級モデルに加えて、高性能なスタンダードモデルSol、最高位のAstraが使えるようになる)

・画像生成と画像編集(GPT Image 2.5)の枠が拡張

・高度な音声モデル(GPT-Live-1)が利用可能になり、音声で流暢にチャッピーとやりとりできるようになる。

最上位モデルの「GPT-6 Astra」はPlusプランでも使うことができますが、あっと言う間に使用量を使い果たしてしまうので、軽率に依頼しないほうがよいでしょう。所定の使用量を使い切っても「追加クレジット」を買って作業を継続できますが、正直かなり割高なので注意。

Codexの利用残量はこまめに確認しよう

           ▲Codexの利用残量はこまめに確認しよう

<初めてならPlusプランに入ろう>

月3000円でCodexがまともに使えるようになる上、GPT Image 2.5を全力で振り回せるようになるPlusプランは、正直かなり良心的だと感じます。GPT Image2.5でどんなことができるのかはこちらの特集で紹介していますが、非常に高い精度を誇る画像編集モデルですので、これからAI創作を本格的にやってみたい初心者はとりあえずPlusプランに入って損をすることはないでしょう。

余談ですが、Plusプランから利用可能になる音声モードも非常に楽しいので、ぜひ一度は体験してみてほしいサービスです。GPT-Live-1は非常に流暢に話せるモデルで、友達のような距離感で会話できますし、創作アイデアの壁打ちにもぴったり。Irodori-TTSなどに比べるとまだ「日本語が超うまい外国人」のようなしゃべり方ではあるものの、同時通訳などにも使えて大変便利です。

Codexの使用上限はProに比べ5分の1と控えめですが、画像生成や文章生成といった手を動かさなくていい作業であれば、Chatモードを使うことで節約可能。まずは1か月だけ試してみて、「自分はChatモードだけで十分だな」と感じたらすぐ解約すればOKです。即解約しても翌月の更新日までPlusプランの状態で使い続けられますし、更新日が来てFreeプランに格下げになったとき「いやいやもうお前なしではいられないよ…」となったら継続課金する、という考え方でよいと思います。