こんばんは、スタジオ真榊です。今回は2025年5月現在の環境におけるキャラクターLoRA作りの検証記事をお届けします。具体的には、NovelAI v4の新機能「ポーション」「ランダムプロンプト」をうまく使うことで、手元に1枚しかないキャラクターの絵を基に構図やポーズの違う「別カット」を低コストで量産し、それらでキャラLoRAを作って恒久的に再現できるようにする手法について特集しました。

NovelAIの性能を活かした「同キャラ別カット」については、ちょうど1年前にこちらの記事でも特集したことがあります。こちらは「AIは同じキャンバス上でインペイントするとき、キャラクターの容姿をできるだけ保持しようとする」性質を利用したものでしたが、V4を使った今回の手法ではさらに簡単かつ低コストでオリジナルキャラクターLoRAを作れることが分かりました。

検証の題材にしたのは、かなり前に偶然生成したこちらの絵。この1枚を基に、このキャラデザや雰囲気を「現在使っているillustrious系モデルの画風で」再現できるLoRAを作れるか試してみました。こちらのイラストはラフスケッチ風ですが、強制的にラフスケッチ風になってしまうLoRAでは使いづらいので、あくまでillustrious系モデルで汎用的にキャラデザを再現できることを目的にしています。

1枚の絵から「別カット」を量産してキャラクターLoRAを作る(for illustrious):図版1

こちらができたLoRAで生成した画像です。現在のモデルの画風を壊さずに、キャラクターデザインや雰囲気をうまく抽出できており、服装なども自由に変えられるLoRAになったかと思います。

1枚の絵から「別カット」を量産してキャラクターLoRAを作る(for illustrious):図版2

1枚絵さえあればそのキャラを一貫性を持って再現できるようになると、AIイラストだけでなく、オリジナルの漫画や映像作品を作る上で非常に役立ちます。LoRAの学習時間を除けば30分程度の作業時間でできるので、漫画作りをする前に一手間掛けておくと非常に捗るはず。特に、0Anlasで通常サイズの1枚生成ができる「Opus」プランの方はほとんどAnlasを消費せずにデータセットが作れますので、ぜひトライしてみてください。

NovelAI v4の「ポーション機能」

今回の手法でメインに使うのは、2025年4月14日に公開されたNovelAI v4の新機能「ポーション」です。

NovelAI v4の「ポーション機能」:図版1

「ポーション」は、好きな画像(1〜16枚)から画風・配色・構図の「エッセンス」を抽出し、生成時にブレンドできる機能です。要するに、V3にあった「バイブストランスファー」機能の強化版で、使い方もほとんど同じ。性能と使いやすさは以前よりも大きく向上しており、原理は異なりますが、NovelAIにおける「簡易的な追加学習機能」と感じるくらいです。

・抽出度×適用強度=調合

バイブストランスファーと同様、ポーションでも「抽出度」と「適用強度」というパラメータを参照画像ごとに指定できます。

参照強度:生成画像にポーションの影響をどれだけ反映するか。複数枚を参照させる場合、合計1.0以下が推奨。

情報抽出度:0.1寄りだと構図優先、1.0寄りだと画風・質感優先になる。数値を変更すると再調合が必要で、Anlasが微妙に消費される。

ポーションは複数の画像でこれらのパラメータを組み合わせてバランスを作ることを前提としており、そうした行為を「調合」と呼びます。

最初にポーションを「調合」するときは2Anlasを消費しますが、一回調合するとそのレシピを記憶させた「naiv4vibe」ファイルというものを保存でき、次から調合料金が掛からなくなります。3点リーダボタンから「ポーションセットファイルを保存」すると、ローカルに「2025-05-XX.naiv4vibebundle」といったファイルを保存できるので、次回からこれを読み込むとAnlasを節約できます。また、4つ以上の参照画像をポーションにする場合、追加画像1枚ごとに2Anlasの費用が追加されます。

文章で読んでも分かりにくいので、実際にやってみましょう。

・ポーションを使ったキャラクター再現のやり方

今回はさきほどのオリジナルキャラクター・鬼怒川あんなさん(29歳既婚・元パンクロッカー)の1枚絵をポーションにして、構図やポーズの違うあんなさんを生成してみます。参照画像が一枚しかないと印象が薄いので、このように顔のアップ画像もスクリーンショットで作り、計2枚読み込ませました。

・ポーションを使ったキャラクター再現のやり方:図版1

参照強度はそれぞれ初期値の「0.6」のまま。情報抽出度も初期値の「1」のままです。NAI公式によると参照強度は総計「1」になるよう調整したほうがよい(この場合0.5+0.5)とのことですが、やってみたら特に問題なかったのでこのままの調合で行ってみます。

プロンプトは、参照させるあんなさんの画像を生成したときとほぼ同じ(下図)。これで生成すると、参照画像に似たテイストのキャラクターが生成できるはずですね。

・ポーションを使ったキャラクター再現のやり方:図版2

今は1枚しかあんなさんの画像が手元にありませんが、ポーションで良いものができたら、新たな参照画像として調合に加えたいので、「白背景(white background,simple background)」かつ「複数角度(multiple views)、横から(from side)、背後から(from behind)」と設定しました。

このようなマルチビュープロンプトを使って横長のキャンバスで生成すると、基本的に同じキャラを複数の角度から描いたものが出てきやすいことがよく知られています。(ちなみに、「smile,angry,sad」など互いに反する表情を入力すると、表情集のようになることがあって面白いです)

・生成結果

さて、こちらが一発目の生成結果です。いきなりかなり似てくれて驚きますね。横長の大キャンバスにすると1枚30Anlasかかるかわりに、1枚の生成で3回生成チャレンジができてオトクです。

・生成結果:図版1

参照強度を ちょっと強めるとこんな感じになりました。新たなポーションとして追加したいので最初だけAnlasを奮発してみます。

・生成結果:図版2

何度か回すとこちらの画像が出てきました。イメージにそっくり!せっかくなので、左右を別の画像として切り出して、新しいポーションとして加えました。

・生成結果:図版3

・ポーションは「万能薬」ではない

このように、ポーションをうまく使うと気軽に特定キャラクターの1枚絵を量産することができます。マイナーなアニメキャラを生成するときなどに向いているかなと思いますが、現在TLをにぎわせている最新アニメのエースパイロット人妻キャラを再現しようとしたところ、さほどうまくいきませんでした。

・ポーションは「万能薬」ではない:図版1

このキャラクターは白目が肌色で描かれるなど、かなり通常のAI絵の画風とはかけ離れた、特徴的な画風のキャラクターです。ポーションは非常に便利な機能ですが、キャラデザというより「画風」のレベルで強い特徴を持ったキャラクター(特に、クレヨンしんちゃんやドラえもんのような骨格からかけ離れたキャラクター)となると、うまく似せられないようです。

こうした難しい生成になると、Gemini 2.0 Flash Experimentalのほうががぜん得意です(ChatGPT4oはGPT画風に変更してしまうのでやや不得意)。アップスケールの必要はありますが、ポーションだけが「別カット」の選択肢ではないことは覚えておきましょう。

・ポーションは「万能薬」ではない:図版2
・ポーションは「万能薬」ではない:図版3

「ポーションよりGeminiのほうがいいじゃないか?タダだし」となりそうですが、Geminiは細部の描写がいまいち甘く、アップスケールも気軽にできないのが玉にキズ。それぞれ一長一短があるので、場合によって使い分けるのがオススメです。

・量産したポーション画像でLoRAを作ろう

さて、今回の目的は、あんなさんの特徴をよく捉えた一貫性のある画像を、ある程度のバリエーションを持って15枚前後用意し、LoRAを作ることです。普段使いのモデルで違和感なく生成できるように、画風には極力影響しないLoRAにしたいところですね。

ポーション用参照画像が揃い、安定してあんなさんの画像が生成できるようになりましたので、今度はキャンバスサイズを「普通」に変更します。Opusプランなら0Anlasで生成し放題なので、NovelAI v4のもう一つの新機能「プロンプト抽選機」を使って、Anlasを節約しながらデータセットを作っていきましょう。(※ポーション枚数が4枚以上になると、わずかに追加Anlasがかかります。できれば3枚までにとどめたいところですね)