こんばんは、スタジオ真榊です。今回はごく短く、こちらの二次創作AIまんがのメイキングを書き留めておきます。もともと記事にするつもりがなかったのですが、望外にたくさん拡散していただいて、いろいろご質問もいただいたので、多少雑な振り返りになってしまうかもしれませんが、取り急ぎ記事にまとめることにしました。
はじめに
この漫画は、5月の大型連休のときに旅先でノートに書いた4ページのネームを6ページに膨らませたものです。御覧の通り、AnimagineXL3.1やNovelAIには学習されていないオジェロとヌーノというサブキャラクターが狂言回しを務めるため、モデル由来のtext2imageでは出すことができず、しばらく死蔵されていたネームでした。
従来の追加学習のやり方でキャラクターLoRAを作るには、そのキャラクターをさまざまな角度からとらえた数枚から数十枚程度のイラストが必要で、追加学習の知識もないとなかなか良質なLoRAは作れませんでした。6pのためにわざわざLoRAを自作するのも大仰だし…と思っていたところに、とりにくさんの「CoppyLoRA webUI」が登場。1枚絵からオジェロとヌーノの簡易再現LoRAを作ることができるようになりました。
もちろん、再現LoRAといってもバストアップの1枚絵だけで15分程度で学習させるものですから、大した再現度にはなりません。実際に漫画制作に使用したLoRAで普通にtext2imageしてもこの程度です。バストアップ以外の部位は崩壊してしまいますし、顔面の再現度もいまいちですね。(目や仕草が女性っぽくなるのはCoppyLoRAの仕組み由来かと思われます)

CoppyLoRAで作れるのはあくまで簡易版ですので、あとはできるだけそのキャラクターに似るようプロンプトを練りつつ、ポーズは自分で下絵を描いて読み込ませることで、足りない部分のクォリティを補ってあげる必要があります。とはいえ、6ページの中でオジェロとヌーノが登場するシーンは数枚程度ですから、簡易LoRAによる再現と下絵による指示、加筆による「寄せ」の3点が揃えば、そこそこ本人に見せることはできると分かりました。
これは雑な下絵をCoppuLoRAに線画化してもらったところ。こうやって少しずつ寄せていけば、高性能なLoRAがなくてもそれなりにオジェロに見えるキャラクターを描くことができます。

土曜日の昼に6ページ仕上げることを思い立って、完成したのがだいたい翌朝午前4時ごろ。その間ずっと机に向かっていたわけではないので、実働は10時間から12時間くらいではないかと思います。その間に、2人分の簡易LoRA学習、画像生成、ネーム通りの写植、AIイラストの配置、加筆といったネーム以外の全工程を行いました。
前置きが長くなりましたが、いつも通りネーム作りからセリフの写植、文字入れから完成まで考えていたことをできるだけ書き起こしながら、作業の様子を振り返りたいと思います。「異世界転生アウラちゃん」シリーズについてはこちらの記事にまとめたので、併せて御覧いただけると良いかと思います(あちらはLoRA未使用)
1.ネーム
まずはネームについて。アウラちゃんのときと同様、ノートを上下左右に四分割して、ざかざかと入れました。話は既に決まっていたので、だいたい30分くらいで描けたはずです(記憶があいまい)。ネタを思いつくのはだいたい電車内やサウナに入っているときで、スマホのメモ帳に書き留めておくことが多いです。セリフはメモ帳の方に書いているので、ネームには簡易的にしか描き込んでいません。

こちらは追加で当日書き足した分の追加ネーム。上半分はボツになってしまいましたが、ゲーム画面にどんなことを書くと面白いかを検討した形跡がありますね。下半分が最終ページの「おまけ」です。

本来はミオリネさんに見つかって怒られておしまい、というシンプルオチだったのですが、作っているうちに、ミオリネさん本人がプレイして「何よこの失礼な女は!」と怒るというネタがどうしてもやりたくなり、さらに発展して、ゲームでの反省から、ちょっとだけ普段のツンデレが緩和する…みたいなほんわかオチを思いつきました。
ネーム段階で考えていたのは、いつも通り「描きたいコマから逆算してストーリーを作る」ことです。この4pの面白いキモは
①基本原作と同じセリフしか言わないゲームのミオリネさんが、美少女ゲームの文脈で微妙にズレた感じでしゃべるところ
②それをスレッタちゃんだけが攻略できるところ
だと思うので、何よりゲーム画面がぱっと見て面白くなるように、たくさん小ネタを込めて工夫しようと思っていました。
<ネーム段階の反省点>
オチがワンパターン。印象的な一枚絵にテロップ芸で終わらせるのは、異世界転生アウラちゃん1話、2話と全く同じ終わり方です。オチの引き出しが一つしかないので、これはもっと増やさなければいけないんだなと分かったのは収穫でした。

もう一つは、セリフをネームにすべて盛り込まなかったため、ネームとしての完成度が低かったこと。ナレーションやセリフはスマホのメモ帳に、コマ割りとおおまかな絵の配置はノートにそれぞれ描き込んで、二つが揃って初めてネームになるやり方で私は作っているわけですが、このやり方だとフキダシの配置が苦しいことに気づきにくく、ネームとしては不完全であることがわかりました。やはり、面倒でもネームには全部のセリフを配置してバランスを見たほうが、直すべき部分が分かりやすいようです。(※これについては次の項目で詳しく振り返ります)
2.文字配置
まずは4ページをそのまま再現しようと思い、CLIPSTUDIO PAINT EXを開いてコマ割りをし、セリフなどの文字を配置していきました。ところが、コマの大きさを設定して、用意したセリフを並べてみると、全然自然におさまらない!この時点で4ページではうまくオチない(特にラストが弱い)ことが分かり、足したり引いたりしているうちに6ページになった、というお恥ずかしい経緯です。

さきほど「面倒でもネームには全部のセリフを配置してみたほうが、直すべき部分が分かりやすい」と書きましたが、本来ネーム段階で終わらせておかなければいけない作業が、この写植段階に「染み出してしまっている」ような現象が起こっているのだと思います。もとのネームと見比べていただくと分かるのですが、大きな原稿用紙に手描きではない写植文字が配置されると、初めて読者に伝わりづらいところやもっと面白くできるところに気づけるのですね。この段階で、最初に用意した4pネームから大幅な改変が行われてしまいましたので、ネームがネームとしてきちんと機能していないというのは問題点だと思います。
ただ、私にはネーム段階で最終原稿に近い完成度に仕上げる力がまだないため、むしろこのような行き当たりばったりの作り方をしたほうが最終的なクォリティは上がるのかもしれず、このやり方を改めるべきかどうかは悩ましいところです。最終的にAIイラストを並べたときに、初めて文字数が多すぎるとか、フキダシからフキダシへ、コマからコマへの視線誘導や、お話の伝達がうまくいかないといった問題に気づいて修正することも多々あるので、ここはそれぞれやりやすい方法を模索したほうがよい部分かもしれません。(きっと手描きの漫画家さん方も皆さん異なる方法で作られている気がします)
とはいえ、用意していたセリフを適宜並べるだけで、それなりに問題点には気づけますし、どういう順でフキダシを読むかの視線誘導もだいたい想像ができますので、AI絵を並べてからセリフを入れるよりも写植を先にした方がずっとやりやすいと感じました。フキダシ位置が決まるとどういう絵が必要かも分かりやすくなるので、生成もしやすくなります。
<コマ割りについて>
CLIPSTUDIOの操作については前回のメイキング記事に詳しく解説しているので、ここでは触れません(基本同じです)。今回はアクションのない顔漫画なので、ほとんどタチキリ(ページのふちまで描かれるコマ)を使わず、さらっと読みやすい内容になることを重視しました。
タチキリになったのは最終ページの中段のここだけです。もともと左側のコマはない予定で、「伝わるわけないじゃん!」のすぐあとに「あっあのさ…」と続く予定だったのですが、ちゃんとここで自分の悪いところに気づくシーンを入れないと伝わらないなと感じ、むりやり2コマ目を右に寄せて3コマ目を挿入しました。あまり褒められたやり方ではないですね…

あとは冒頭の1コマ目、これは教科書的にはダメなコマ割りだと思います。本来なら、右上に縦長のタチキリで地球寮の外観と空を描いて、舞台説明から入るのが正調のまんがの導入部のはず。

よそさまのツイート引用で恐縮ですが、この1枚目のような外観を、本来は右肩に小さく入れて、「おーすお疲れ~」は2コマ目にすべきということですね。
ただ、アニメの地球寮の外観を無断i2iするわけにはいきませんし、Controlnetで線画部分を引き写すのもトレパクみたいで倫理上好ましくないため、地球寮を1コマ目に描くには私が模写するしかないというところに問題がありました。ここに大変時間がかかってしまうのは避けたかったので、「地球寮」のテロップ一つに任せてちょっと無理やりな導入になっているのは反省点だと思います。
ほかのところでもそうなのですが、改善案が思い当っても作画時間と"よくなる度"を勘案したときに「釣り合わない」と思ったら見送っています。あくまで趣味なので、楽しくできることを優先したと言えば聞こえがいいのですが、要するに手を抜けるところは抜いているということですね。
<CLIPSTUIDIO PAINT EXについて>
アウラちゃんは最初、CLIPSTUDIO PAINT PROで制作しており、2話から「EX」に切り替えたのですが、これまで私がEXの追加機能を十全に使い倒せているかというと微妙かもしれません。
ページ管理機能やLT変換、一括処理機能といった便利機能が備わっているので、もちろんどれも便利に活用しているのですが、「PRO」では漫画制作が無理かというとそんなことはないかなと思います。ただ、それは私が制作しているのが4~8P程度のSNS向け短編だからで、20ページ以上の読み切り漫画や同人誌を作られる方は、間違いなく「EX」の方が取り回しがよいでしょう。






