
こんにちは、スタジオ真榊です。今回は、画像編集ソフト「CLIP STUDIO PAINT」(以下クリスタ)がver.5.0にアップデートされたのを機に、絵が描けなくてもできるAIイラストの加筆・編集・仕上げについて、複数回にわたって特集したいと思います。「第1回」ではまず、クリスタの基礎知識とグレード・ペンタブの選び方、大事な初期設定などについて、ver.5.0準拠で紹介します。【約21,000字】
AI絵とクリスタについては数年前にも全3回で連載しましたが、その後アップデートやNanoBananaなど新モデルの登場で環境は大きく変化しており、AIイラスト・漫画用途での活用法についても知見が集まってきました。今回のver.5.0アップデートでは、直線や図形を素人でもきれいに引ける「スマートシェイプ」を始め、AIイラストの加筆修正にもうれしい機能が各種新装されていますので、現環境でのAIユーザー向けクリスタ活用術を改めてまとめたいと思います。
筆者はお絵描きの経験もスキルもほとんどないので、この記事では才能や熟練と関係がない「覚えるだけですぐできる知識」に着目して、あくまでAIユーザー目線のTIPSを紹介していきたいと思います。AI絵の破綻修正をはじめ、より魅力的に見えるようカラーや質感を調整したり、漫画風に吹き出しやコマ割り、擬音、集中線を入れたり、エフェクトを加えてより魅力的に仕上げたりする方法を、絵の経験やCLIPSTUDIOの知識がない方にもスッと分かるよう解説していきます。
CLIPSTUDIOってどんなアプリ?
CLIPSTUDIOは、PC・タブレット・スマートフォン向けのお絵描き・漫画制作アプリです。ブラシ素材や吹き出し、エフェクトなどをダウンロードできる非常に便利な「アセット」(素材集)をはじめ、イラスト・漫画の作画を大幅に効率化できる各種機能が実装されており、お絵描き初心者からプロのイラストレーターや漫画家まで、幅広く利用されています。

(※公式サイト:https://www.clipstudio.net/ja/ より引用)
特別な技術がなくても、コマ割りや吹き出し、テキスト、集中線、トーンなどがワンアクションでできるので、AIイラストを生き生きとした漫画に仕上げることが可能。ver.5.0では、線の震えを自動補正してきれいにしてくれる「スマートシェイプ」機能などが実装され、さらにお絵描き初心者に優しくなりました。

▲きれいな線を引けなくても、クリックや文字ぽちぽちだけで漫画風にできる
PhotoshopがどちらかというとCGや写真編集に向いたソフトなのに対し、CLIPSTUDIOはよりイラスト・漫画創作文化にフィットしたソフトと言えると思います。PhotoshopではNanoBananaや生成拡張、回転機能など、最新のAI生成機能がどんどん導入されているのに対し、CLIPSTUDIOを提供するセルシスは「画像生成AIを用いた機能を今後CLIP STUDIO PAINTには搭載しない」と宣言していますので、そういう意味でも趣の異なるソフトと言えるかもしれません。
・グレードと契約プラン
クリスタには、高級版の「EX」、通常版の「PRO」の2グレードがあります。他にCLIP STUDIO TABMATEという機器やPixivプレミアムを購入するとついてくる「DEBUT」もありますが、こちらは体験版のような位置づけ。利用金額はグレードによりますが、「一括払いか年・月払いか」「対応デバイスは1つか複数か」「ダウンロード販売かパッケージ販売か」によって細かく変わるため、やや複雑です。(これから板タブを買う人は、クリスタの使用権がセットでついてくることがあるので確認しておきましょう)
まず、一括払いで入手できる最新の「Ver.5.0無期限版」はPROが6,900円、EXが28,900円です。これはあくまで「Ver.5.0を」無期限に使えるプランなので、今後さらにアップデート版が出た場合は追加料金の支払いが必要。アップデートプランはPRO 1,200円/年、EX 3,400円/年ですので、古いCLIPSTUDIOの無期限版を購入済みの方も、このアップデートプラン料金を支払えばVer.5.0を使うことができます。

(※CLIP STUDIO PAINTラインナップ:https://www.clipstudio.net/ja/lineup/ より)
一括払いのほかに、年払い・月払いも可能です。1デバイスの年額・月額利用プランはPROが480円/月・3,000円/年、EXが980円/月・8,300円/年。いずれも初回申込み時は最大3~6ヶ月無料(※デバイスによる)ですので、初めてクリスタを購入する方はこちらが有力な選択肢になろうかと思います。

月額払いのメリットはアップデート時も追加料金なしで使用できることですが、デメリットは使い続ける限り無限にお金を取られるということ。一定期間月額払いしたあと、お金がもったいなくなって一括払いにすると逆に総額がかさむので、Ver.5.0のアプデを機に一括で購入するのは賢い選択かもしれません。次回アップデートプランを追加で契約するかは、どうしても欲しい機能が実装されているかを確認してから決めれば良いですしね。
結論を言えば、まずAIイラストを加筆修正したり、セリフをつけたり、エフェクトを入れたりする目的であれば、通常版の「CLIP STUDIO PAINT PRO」で十分だと思います。公式の説明では、「お絵描きならPRO・漫画制作ならEX」という雰囲気ですが、コマ割りや吹き出しなど一通りの画像編集はPROで十分できます。EXの強みは、漫画制作における複数ページの管理やセリフ差分機能、縦長フリックで読む「Webtoon」制作、一部のPDF/電子書籍書き出し、本格的な長尺アニメの制作などができること。「これから数十ページの漫画作品をばんばん出していきます!」という方はともかく、AIイラストの編集が主目的なら、最初から「EX」を買わなくても困らない人が多いでしょう。
私は「PRO」の一括購入で始めたのですが、FANZA向けの漫画を作る上で「EX」だけの「複数ページ管理機能」やセリフを一括操作できる「ストーリーエディター機能」に関心があり、あとから追加料金を払ってEXにアップグレードしてみました。正直2万円以上の差を感じるほどの差は感じませんでしたが、確かに複数ページ管理機能は便利でした。(ストーリーエディターはあんまりピンと来てません)
どうしても今決められない人は、とりあえずこちらからクリスタをインストールしてみて、「EX」を980円/月額プランで1か月契約し、3か月間の無料期間+1か月の間に自分に合ったグレードがEXかPROか確かめて、気に入った方を一括購入すると良いかなと思います。クリスタのアカウントを作ってログインするだけでも1か月無料で利用できますので、いずれにせよまずは使ってみましょう!

▲無料期間はデバイスによって異なる

AIイラストに適したペンタブは?
クリスタを導入するなら、ペンタブも一緒に購入することを強くおすすめします。マウスではどうしても細かい作業が難しく、特にAI絵独特の破綻修正や手書き文字には向かないからです。数千円の中古品でも、エロ絵に擬音がちょこっと書けるだけで超楽しいので、ぜひ買いましょう。
ペンタブは大きく分けて、画面付きの高価な液晶ペンタブレット(液タブ)と、画面なしの板タブに分かれます。絵をあまり描かない人がAIイラストの加筆修正に使うなら、1万円以下の安価な板タブで十分です。

AIイラストを手で編集する場合、ゼロから人体を描き起こすわけではないので、イラストレーターに求められるような繊細な運筆はそこまで要求されません。ペンデバイスの利点は、マウスと違って感圧があり、線の太さや濃さ、入り抜きを変えられること。そして本体やペン側の物理ボタンに「取り消し」「やり直し」「右クリック」「ペン/消しゴム切り替え」などを登録できることです。絵の経験がない場合、AIイラストの修正はとにかく取り消しとやり直し(アンドゥ/リドゥ)の連打になるので、ここが快適かどうかで作業速度が大きく変わります。
ペンタブメーカーでいま主流なのは、国産メーカーのワコムと中国メーカーのXPpen。家電量販店でもこの2社の商品が多く並んでいます。ワコムはブランド力や性能・耐久性に優れますが、比較的高価。XPpenはワコムよりかなり安価ですが、性能はかなり比肩してきているようです。性能は商品によって細かく異なりますが、「本体のサイズ」「傾き検知対応の有無」「端子が通常のUSBかType-Cか」「物理ボタンが本体とペンにいくつあるか」「Bluetoothまたは専用レシーバーで無線接続ができるか」あたりがポイント。
個人的に使ってきたのは、ワコムの小さくて古い「Intuos」というモデルです。ipad miniくらいの大きさで、有線モデルですが、使うときだけ引っ張り出すので特に気になりません。本体ボタンは4つ、ペンのボタンは2つあって便利ですし、サイズは一番小さいもので特に問題なし。Intuosのように平らなモデルなら、キーボードの下に使わないとき重ねておけるので便利です(傷つくかもしれませんが…)

ちなみに、公式サイトなどで現行モデルを購入するとCLIP STUDIO PAINT PROの2年ライセンスがついてくるので、クリスタと板タブを同時購入するつもりの方は二重払いにならないようよく確認しておきましょう。そうしたライセンスや補償などを気にしないなら、メルカリなどで中古品を入手するのもよいでしょう。

こちらは価格コムの板タブ人気機種一覧。AIイラストの編集用途なら、1万円以下の小さいモデルで全く問題ないです。ワコムならIntuos Smallベーシックの最新版がおすすめで、配線が気になる人はワイヤレスがよいかも。

ちなみに、3500円で買えるXPpenの「Deco Fun XS」は、激安ではありますが本体に物理ボタンがないのであまりおすすめしません。スタイラスペンを持ってない方の手で取り消しボタンを連打できないからです。AIユーザーには細かな性能差より、本体とペンの物理ボタンの数が大事だと思います。
・紙を貼ると長持ち?
私は先日から、本体表面にコピー用紙を切ったものをマスキングテープで貼り付けて使ってみています。見栄えが悪いですが、これがなかなかいい感じ。(※20x16cmのIntuos smallサイズでこの大きさ。小さいと感じたことはないです)

ペン先の感覚がカツカツからサリサリした感じに変化して書きやすく、ペン先の減り(※)も遅くなります。本体も傷つきにくくなるそうですが、貼り始めたときはもうぼろぼろだったので時すでに遅し…。もっときれいに貼れるオーバーレイシートも販売されていますが、私にはコピー用紙で十分です。ただ、濡れたり汚れたりすると貼り替えないといけないので、飲み物には注意。
(※意外ですが、ペンタブをしばらく使っていると、ペン先が本体と擦れあって斜めに削れていきます。Intuosのペンはお尻を回すと中に替え芯が入っていますので、違和感を覚えたら取り替えましょう)

CLIPSTUDIOのインストールとマニュアル

CLIPSTUDIOは、「インストーラーをダウンロード」▶「実行してPC内にインストール」▶「ライセンスを購入・登録」の3ステップで利用開始できます。タブレットやスマートフォン版の場合は、普通のアプリと同様にApp StoreやGoogle Play Storeでインストールし、ライセンスを登録する必要がありますので、詳しくは公式サイトの案内をご覧ください。
あまりAI絵をタブレットやスマホで編集する人はいないと思うので、この記事では以下、PCで操作することを前提に解説していきます。導入が済んだら、まずはこちらの「公式マニュアル」をさくっと確認しておくこと!基本的な使用方法はここにほとんど書いてあります。
公式マニュアル以外で参考になったのは、こちらの書籍「CLIP STUDIO PAINTの良ワザ事典」。ちょっとお高いので、絶対買わないといけないというわけでは全然ないのですが、ざっと読むと何となく全体像が分かりますし、辞典形式なので操作に詰まったときにさくっと調べられて便利でした。

絶対最初にやっておくべき初期設定
SDwebUIと同じで、CLIPSTUDIOは最初の設定が非常に大事です。例えば、ペンを消しゴムに持ち替えるたびにメニューから切り替える人と、板タブ(ペン)のボタン一つで切り替えられる人とでは、「塵も積もれば…」で全体の作業時間が変わってしまいます。不便な環境のまま操作に慣れてしまうと、その後ずっと遠回りの操作を続けるはめになるので、便利機能は軒並みオンにし、1回1回のクリック数を減らせる設定を済ませてしまいましょう。
「ファイル▶環境設定」でできることについては、こちらの公式マニュアルも参照のこと。
(1)「ショートカットキーを長押ししてツールを一時的に切り替える」
クリスタでは、消しゴムやスポイトのように、頻繁に「一瞬だけ」使いたいツールがあります。これをペンのボタンやキーボードの長押し中だけ有効にして、離したら元のブラシに戻る設定にしておくと、かなり快適になります。
「ファイル▶環境設定▶ツール」にある「ショートカットキーを長押ししてツールを一時的に切り替える」をオンにしておくと、ペンツールを使っている途中でキーボードの「E」キーを押しっぱなしにしている間だけ消しゴムにし、離すとまたペンに戻る、というような使い方ができます。(Eで消しゴム、Pでペンといったショートカットについては後述します)

(2)「編集操作ごとに復元情報を記録する」(★Ver5.0新機能)
Ver.5.0では、「ファイル▶環境設定▶ファイル」設定に、「編集操作ごとに復元情報を記録する」機能が追加されました。アプリが予期せず落ちてしまったとき、これまでも「復元情報を次の間隔で保存」で指定した間隔ごとに保存された時点に戻してくれたのですが、「編集操作ごとに~」にすると、最後の動作までしっかり戻してくれます。ペンで一本線を引くごとに保存されるので、特に理由がなければオンにしておきましょう。(動作も遅くならないようです)

もちろん、1本線を引くごとにファイルが自動で上書き保存されてしまうわけではなく、あくまで不意に落ちたときに同じ作業環境を保持していてくれるだけなので安心です。すぐ下にある「保存をバックグラウンドで実行する」をオンにしておくと、自分で「ファイルを保存」したときにクリスタが固まらず、そのまま操作を続けることができます。こちらも、作業中に上書き自動保存される機能ではありません。
(※バックアップデータについては公式FAQの「CLIP STUDIO PAINTにバックアップ機能はありますか?」を参照のこと。万が一に備え、編集中のデータをクラウド上に保存しておくこともできます)
(3)サクサク度に関わる「パフォーマンスとメモリ」
パフォーマンス欄にある「仮想メモリ作成先」は、できれば起動ディスクで、空き容量に余裕のあるドライブを選びましょう。クリスタでの作業中にブラウザや生成UIも同時起動している人が多いと思うので、アプリケーションへの割り当ては盛りすぎず、様子を見ながら調整しましょう。

「アプリケーションへの割り当て」を100%に近づけるとクリスタだけはサクサクになりますが、逆にウェブブラウザなどが極端に遅くなるので、50~70%くらいを目安に調整しましょう。
(4)取り消し回数
クリスタでは間違えた線を引いたとき、ペンタブ本体ボタンなどから「取り消し(Ctrl+Z)」をして一つ前に戻ることを多用するのですが、前回の動作を何回分まで遡って覚えておくかがここで決まります。上のスクリーンショットのように「200」になっていれば200回分前に戻れます。使用感で調整すればいいのですが、とりあえず200くらいで私は問題なく運用できています。「◯ミリ秒」となっている数値を大きくすると、一瞬線を引くのが途切れても「合わせて1動作」とみなしてくれるようになります。
(5)キャンバス表示品質
「標準」だと画面表示が少し荒くなるかわりに全体の動作が軽くなるのですが、まずは「高品質」にしてみましょう。PC環境に合わせて、ラグが出るようなら「標準」に戻して構いません。

(6)ツールパレットの事故防止
クリスタの画面上には「ツールパレット」や「サブツールパレット」「レイヤーパレット」などなど、メイン操作画面以外にさまざまな「パレットドック」が展開しています。各ドックは端をドラッグすることで拡大縮小できるほか、上部をドラッグすると独立してポップアップさせたり、別の位置に挿入したりできます。

ところが、作業中に間違えてパレットやツールをドラッグしてしまい、画面がびよーんと変形したり、必要なツールがどこかへ行ってしまう現象が頻繁に発生します。ツール操作はCtrl+Zでは戻せないので、もとがどういう配置だったか覚えていないと、どう戻したらいいか分からず無駄な時間が生じてしまいます。
<ツール紛失を防ぐには>
そこで、ツールパレット(虫眼鏡や投げ縄のアイコンが縦に並ぶ部分)やサブツールパレット(その右側のブラシ設定などが表示される部分)の左上にある「三」のボタンを押して、「並べ替え方法」を「Ctrl+ドラッグ」にしておきましょう。こうすると、Ctrlキーを押しながらでないとツールの並び替えができなくなるので、作業中の誤ドラッグによるツール紛失事故が各段に減ります。

<ウィンドウ整理&配置崩壊を防ぐには>
画面配置を司る機能は、こちらの「ウィンドウ」メニューに揃っています。左列にチェックが入っているのがいま開いているウィンドウ。まずはここで、明確に「これは必要」と言えるウィンドウ以外は全部閉じてしまいましょう。四面図、タイムライン、いらないです。

ここで、上のスクリーンショットにあるように、「パレットドック▶パレットの配置を固定する」をオンにすれば、すべてのパレット配置を変更できなくなります(表示/非表示切り替えや拡縮は可能)。「左右に広げたり縮めたりしたいけど、縦には動かしたくない」というときは、さらに高さだけ固定するのがおすすめです。これで、各パレットは配置を大きく変更できないかわりに、横に広げることだけはできるようになりました。
どうしてもおかしい表示のまま戻らなくなってしまったら、「ウィンドウ▶ワークスペース▶基本レイアウトに戻す」で初期状態に戻ります。自分好みにカスタマイズしたウィンドウ配置(ワークスペース)を記憶させておきたいときは、「ウィンドウ▶ワークスペース▶ワークスペースを登録」。これで、いつでも好みの配置を復活できます。

(7)アセットのワークスペースを導入してみる
パレットドックの配置(=ワークスペース)は人によって好みがあり、一度慣れてしまうと容易に変更できなくなります。私のようにデフォルトのまま慣れるより、最初から使いやすい人気ワークスペースをアセットから導入して使い始めたほうが効率的だったかもしれません。こちらの公式記事で詳しく紹介されています。
デフォルトでは、画面左にペンやカラーなどのツール系パレット、画面右側に素材やレイヤーなどのパレットが配置されています。私はほぼそのままで利用していますが、熟練ユーザーは右利きなら右側にそれらを寄せてしまい、よく使うツールとそうでないツールを分けて配置していることが多いようです。こちらから人気のワークスペースを選んでDLできるので、一番最初に導入しておくとよいでしょう。
人気なのは、こちらの右利き向け「redjuice HDワークスペース」。ブラシサイズが縦に細く並んで選びやすく、各ツールパレットが右側にコンパクトに収まっているのが特徴で、メインのキャンバスを非常に広く表示させることができます。

ただ、こうしたメインキャンバス大きめのワークスペースは、通常のお絵描きをする方向けの配置です。AI絵の編集や仕上げにしか使わないのであれば、むしろツールや素材のパレットが大きく表示されるほうが作業しやすい、目当てのものを探しやすいという人も多いかと思います。下図はデフォルト配置で素材パレットをとても大きく開いたところですが、使うときだけこのようにガバッと開いて、普段は「>」ボタンで閉じておくのがいいかなと思います。

折りたたみはこちらの「>」「>>」でできます。「>」は左側の素材パレットだけ、「>>」はその隣に並ぶボタンごと非表示になります。

個人的に使いやすいのは、全部右寄せにするのではなく、デフォルト配置からブラシサイズだけこのように縦並びにする配置です。

パレットドックが固定されていない状態でブラシサイズのドックをドラッグして列から取り出し、この赤い線の位置に移動して縦一列にするだけでOK。画面がすっきりしますし、重要な「ツールグループ」や「ツールプロパティ」といったパレットは大きく表示できます。

(8)クイックアクセスパレットを作る
画面右側、縦に並んだボタンの一番上をクリックすると、このような「クイックアクセス」パレットが開きます。ここには、自分のよく使うツールセットを複数保存することができます。初心者のうちはツールの配置やショートカットをなかなか覚えられないので、よく使うペンや動作をここにまとめておくと作業が高速化します。

左上の「三」ボタンから「セットを作成」を選び、例えば「AIイラスト修正」「吹き出し作業」「仕上げ」などと名前をつけてセットを作ります。ダイアログでよく使うツールやアクションをどんどん追加し、ドラッグして入れ替えればOK。クリスタはすぐにアセットであふれてしまうので、よく使うツールを作業別にまとめておくと効率がよくなります。
(9)ペンタブ側の物理ボタン設定
設定方法は使用しているペンタブごとに異なりますが、たいていのペンタブには前述の通り物理ボタンがついており、ペンデバイスにもボタンが複数付いていることが多いです。マウスのサブボタンと同じように、これらのボタンに自由に機能を割り付けられるので、最初にこの設定をきちんとしておくことが重要です。

おすすめは、タブレット本体側のボタンに「取り消し」「やり直し」、ペン側に「右クリック」「消しゴム」を配置すること。こうしておいて、右クリックにスポイト相当の動作を割り当てておくと、色拾いがものすごく楽になります。例えば、服のボタンを一つ消したいときに、「隣り合った色を拾って塗りつぶす」がワンアクションでできます。
(10)筆圧検知レベルの調整
「ファイル▶筆圧検知レベルの調節」で、ペンタブの筆圧検知を調整しておきましょう。詳しくはこちらの公式マニュアルにある通りで、最初にここを調整しておくとペンタブの使い勝手が全く変わります。
こだわりたい場合は、「筆圧の調整」ダイアログと「調整の確認」ダイアログにある「筆圧グラフを表示」から、筆圧グラフを使って調整するのがおすすめ。私などが説明するよりこちらの記事に非常によくまとまっているので、参考にしましょう。
ちなみに、この筆圧コントロールはブラシごとに設定されています。アセットで配布されているブラシをあれこれ試してみて、書き味がピンとくるものがあったら、「ブラシサイズ」の横のボタンから「ブラシサイズ影響元設定」を確認すると、設定を見ることができます。例えばデフォルトである「Gペン」は筆圧設定が一直線ですが…

高筆圧のわたしが愛用している「シュッと描けるコミックペン」は、こんな感じでなだらかなグラフです。筆圧が高くなっても出力が抑えめで推移する設定なので、高筆圧でも繊細な線を引くことができるわけですね。「ペン先の形状は好きだけど書き味が違うんだよな」というブラシがあったら、普段使っているブラシの筆圧設定に似せて設定すると使いやすくなります。

(11)「スマートシェイプ」をONにする(★Ver5.0新機能)
Ver.5.0アップデートの目玉、「スマートシェイプ」を使ってみましょう。「ファイル▶環境設定▶ツール」の一番下に「描き終わりに長押しして形を補正する」にチェックしておくと、線を引き終わったところでしばらく止めておくことで発動します。デフォルトでは0.7秒で発動しますが、好みで調整できます。

どういう機能かというと、このような感じ。線を描き終えたあとにぴたっと止めていると、勝手にそのストロークの内容を読み取って、キレイに整えてくれるのです。
ユーザーが何を書こうとしたかを自動判断するので、線を引いたときと円や長方形、多角形を描いたときで反応が変化します。弱点は、線の引き終わりで長押しする関係で、次第に細くなる「抜き」の線では発動させられないことですが、それでもさまざまな活用法があります。
Xに上がっている絵師さんたちの投稿を動画で見るのが早いですね。このようにテキトーに描いた円や四角形をつなげてくれたりもします。
これは、スマートシェイプ(※投稿の"クイック"は間違い)を使って漫画の描き文字をかっこよくしてもらった例。やってみると分かるのですが、こういうふちを囲って描く描き文字って本当に素人には難しいので、めちゃくちゃありがたいです。
※動画の最後に邪魔な線だけワンアクションで消すシーンがありますが、これは「ベクターレイヤー」という特別なレイヤーでだけ使える「交点まで削除」という機能。ベクターレイヤーについては後述しますが、消しゴムツールのサブツールを「ベクター用」にし、ツールプロパティの「ベクター消去」を「交点まで」に設定すると、ぽちぽちクリックするだけで交点までの線が消せます。

スマートシェイプは、ラフのペン入れにも活用できます。ペン入れはAIユーザーにはあまり関係ないように思えるかもしれませんが、6本指などの破綻を塗りつぶして上から描き直すときや、髪の毛を書き足すときなどにきれいに線が引けなくて困ることがよくありますので、めちゃくちゃ使えます!
スマートシェイプは自動でユーザーが何を描こうとしているのか判別して整えるため、☆を描きたいのに勝手に〇に変形されてしまうことがあります。そういうときは、スマートシェイプ発動時に出る「編集」というボタンを押すと、このようにほかの選択肢を選ぶことができます。(ただ、この選択肢も描いたシェイプに似ていると判定されたものしか出ません。描き直した方が早いこともあります)

(12)関連パレットをポップアップ表示(★Ver5.0新機能)
デフォルト配置のクリスタでは画面一番左に「ツール」ボタンが並び、その隣に「ツールグループ」と「ツールプロパティ」が展開していて画面が狭めなのですが、Ver.5.0からツールグループとツールプロパティを折りたたみ状態で使いやすくなりました。こちらのツイートのように、ツールボタンをダブルクリックすると関連ウィンドウがポップアップしてくれます。
やり方は、「ツール」の「三」ボタンから「関連パレットをポップアップ表示」をオンにするだけ。使わないときはツールプロパティなどが非表示にできるので、画面を広く使いたい人向けです。

(13)削除してしまったツールの戻し方を覚えておく
使わないツールは「右クリック▶ツールの削除」で思い切って消していくと、ワークスペースがシンプルにできます。…が、最初からあった「Gペン」「消しゴム」など大事なツールを間違えて削除してしまうこともあります。そういうときは、すぐ下の「初期ツールを追加」や、ツールグループの「三」ボタンから「初期ツールをグループごと追加」を押せばもとに戻せますのでご安心ください。

初心者のうちは何に使うものか分からなくても、あとになって超便利なツールだったと判明することはよくあるので、無闇に消さないことをおすすめします。
(14)ブラシのカーソル形状変更
ペンやスプレーといったブラシでAI絵を上書きするとき、いま書こうとしている場所には「カーソル」が表示されます。この形状は「ファイル▶環境設定▶カーソル」で自分の好みに変更することができます。

特に板タブを使用している場合、これから画面上のどこに線が引かれるのかが微妙に分かりにくいので、ペン系カーソルの形状を「三角矢印&左下」にすると改善することがあります。人によるかもしれませんが、消しゴム系は「ブラシサイズと点」にするのがおすすめ。あれこれ変更して、自分に合ったものを試してみるとよいでしょう。
(15)ダウンロード素材の自動登録設定
素材パレットの左上の「三」から「ダウンロード素材の自動登録設定」をオンにしておくと、今後ASSETSからダウンロードした素材が自動でツールやカラーセットなどに登録されるようになります(一部できない素材もあります)

これは、オンの状態で「はたペン」をダウンロードしたところ。このように、一番上に「ダウンロード」というツールグループができて、そこに新しいブラシが登録されます。グラデーションセットなど、特殊なアセットも相応しい場所に自動登録されます。

「どんどんツールが増えるとどこに何があるのかわからなくなるので、普段使うお気に入り素材だけ登録したい!」という人はオフのままでもちろんOKですが、始めたてのときは大量の素材をDLするので、素材パレットからツールパレットにいちいちドラッグする手間が省けて便利です。ただ、「ペン」や「エアブラシ」といった各ツールグループにドラッグして整理する作業は自分でやる必要があります。

最初に覚えるべきレイヤー機能
クリスタなどの画像編集ソフトでは、「レイヤー」という透明なフィルムの層を重ねた状態でお絵描きをします。下図のように全てのレイヤーを重ねた状態が、キャンバスで見えている状態になります…というところまでは誰でもわかっていると思いますが、AI絵を編集する際に理解しておくべきレイヤー知識について簡単に触れておきます。

最初に覚えておくべきなのは、ラスターレイヤー、ベクターレイヤー、画像素材レイヤーの違いと使い分けです。(他にも、テキストレイヤーや吹き出しレイヤーなどがありますが、こちらは知識がなくても直感的に扱えるので、ここでは割愛します)
・ラスターレイヤー
ふつうの画像レイヤーです。塗る、消す、ぼかす、写真や生成画像を置く、といった作業の基本はほぼこれでやりますので、初心者はまず「普通のレイヤー=ラスターレイヤー」だと思って始めてしまって大丈夫です。テキストレイヤーや吹き出しレイヤーといった特殊な作業のためのレイヤーも、レイヤーを右クリックして「ラスタライズ」でラスターレイヤーに変更でき、書き込みや加工などが自由にできるようになることを覚えておきましょう。
(例:テキストツールで「こんにちは」と打ち込むと、テキストレイヤーができる。フォントやカラーなどを自由にいじれるが、そのレイヤーに線を書き込んだり、自由変形したりは「ラスタライズ」しないとできない。一度ラスタライズすると、テキストツールでの編集はできなくなるので、「こんにちは」を「おはよう」に書き換えることはできなくなる)

▲こういう編集が自由にできるのはテキストレイヤーだけ。「ラスタライズ」すると文字は自由に変更できなくなる。
・ベクターレイヤー
一度引いた線をあとから編集することができる特殊レイヤーです。ラスターレイヤーは一度線を引いたら終わりですが、ベクターレイヤーで引いた線は「ベクター線」となり、「制御点」をドラッグして好きに動かしたり、線幅を変えたり、先ほど紹介した「交点まで削除」をできたりと、あとから編集することが可能です。(下図は、「ベ」の字だけあとからブラシサイズを大きくした例です)

輪郭線や吹き出し、効果線など「線そのものを後で調整したい」作業はベクター向きで、それ以外の作業(塗りや画像加工など全て)はラスター向きです。手描きイラストではラフのペン入れ(線画化作業)でよく使われますが、AI絵においては、漫画の描き文字などに使うくらいかなと思います。

▲こちらの箱形アイコンのボタンでベクターレイヤーを呼び出せる
「画像生成した線画をベクターレイヤーに変換して操作できたら便利では?!」というのは誰しも思うところなのですが、読み込ませたままの完璧な仕上がりにはならず、このようにちょこちょこぶつ切れの線になってしまいます。(※レイヤーを右クリック▶レイヤーの変換▶ベクターレイヤーでできます)

よく見ると、まつ毛などのニュアンスも滲んでしまっています。
このように制御点が割り振られますので、線の太さを変えたり位置をずらしたりは一応できますし、線に使われるブラシや入り抜きのニュアンスも変更可能です。手描きしないAIユーザーにとっては、AI絵を手書き漫画テイストにしたり、透過した線画を作りたかったり、線画ベースでControlnetしたいときに使える…かなあ?という感じですね。

・画像素材レイヤー
「ファイル▶読み込み」でAI絵などの画像をキャンバス上に読み込むと、このような立方体のアイコンがついた「画像素材レイヤー」として呼び出されます。この状態では描き込みや色変更などの加工がほとんどできなくなりますが、「縮小したり拡大したりしても細部が損傷しない」という利点があります。

ラスターレイヤーで画像をすごく小さく縮小して「確定」してしまうと、またもとのサイズに戻そうとしてもこのようにガビガビになってしまうのですが、画像素材レイヤーの状態ではこうしたことが起こりません。AI絵などの画像素材をキャンバス上に配置したり、コラージュしたりするときに向いたレイヤーです。

<合成モードについて>
それぞれのレイヤーには固有の「合成モード」を設定でき、下のレイヤーに対してそのレイヤーに描かれたものをどのように上乗せするかを選ぶことができます。普通の加筆であれば「通常」モードで作業しますが、影を塗り足したいときや、ハイライトを入れたいとき、輝いているように見せたいとき、カラーグラデーションをかけたいときなどは「乗算」「スクリーン」「オーバーレイ」「加算(発光)」などの合成モードを使用することになります。
詳しくは次回以降、実際にAIイラストを加筆していく回に説明したいと思いますが、「AIイラストを自然に加工するには、合成モードの使い分けを理解するとはかどる」ということだけ覚えておきましょう。

最初に覚えるべきショートカット
クリスタ初心者はペンタブだけで何とかしようとしがちなのですが、キーボードも使います。むしろ、ショートカットを覚えると作業速度が目に見えて変わるので、最初は分かりにくくてもショートカットを使うのを心掛けるようにしましょう。
どのようなショートカットがあるかは、「ファイル▶ショートカットキー設定」で確認・変更することができます。

・スペースキー:手のひらツール
画面上に表示されたキャンバスの位置を調整する機能。特に、メイン画面上でズームしたキャンバスを上下左右にスクロールするときに非常に多用する。これに気づかないと、キャンバス脇のスクロールバーをちまちま動かすはめになってしまうので、初手で絶対覚えておこう。
・P:ペンツール / E:消しゴムツール
ペンツールで描き込みをしているときに、一瞬だけ消しゴムを使いたいときは、キーボードの「E」(イレイザーのE)を押している間だけ消しゴム機能を呼び出せる。(※先ほど紹介した"ショートカットキーを長押ししてツールを一時的に切り替える"がオンの場合)
一回ぽちっと押して離してしまうと完全に切り替わってしまうので、そういうときは「P」(ペンのP)で戻そう。この切り替えと、ペンのボタンに割り振ったスポイトツールはすごくよく使う。
・Altキー(もしくはマウス右クリック):スポイトツール
スポイトは右クリックで呼び出せるほか、Altキーでも呼び出せる。(ペンのボタンに既に割り振っていると思うので、そこまで使うシーンはないかも?)
ちなみに、スポイトツールはいま画面上に表示されている色を拾うか、あくまで当該レイヤーにある色を拾うかをツール画面で選べる。なぜか狙った色と違う色が拾われてしまうときは、「レイヤーから色を取得」モードになっていないか確認しよう。

・R:回転ツール / 「^」「-」:回転
紙に長い線を引くとき、きれいに引きやすい角度が人間にはある。よってクリスタでも、キャンバスをぐるぐる回転させながら絵を描くことになる。特にキャラのほほや髪のアウトラインといった長い線を引くときに回転ツールは必須。ただ、デフォルトだと無段階で回転するので、作業が終わった後に完全な水平に戻すのが面倒。ツールグループで設定できる「角度の刻み」を10~20度くらいにしておくとよい。「-」「^」ボタンでも決まった角度ぶん回転させられるので覚えておこう。

ちなみに、回転表示させたキャンバスを一発で水平に戻す動作は「表示▶回転/反転」にある「回転をリセット」で行う。よく使うなら、ショートカットキー設定で「^」周辺の任意のキーに割り当てておくと便利。
・O:オブジェクト
画面上のオブジェクトをこれでクリックすることで、拡大縮小や設定変更などさまざまな動作を行える。AIイラストの加工修正でも非常によく使うので覚えておこう。

・Ctrl+Shift+クリック:レイヤー選択ツール
描画対象が描かれているレイヤーを一発で見つけられる便利機能。例えば、キャンバス上に表示されている「謎のゴミ」を消したいのに、レイヤーが大量にありすぎて、どのレイヤーに描き込まれているのか分からないときに使う。

「Ctrl+Shift+クリック」でその点をクリックすると、一発で描かれているレイヤーにフォーカスが行くのでとても便利。(画面全体を覆うグラデーションなどが掛かっていると、そっちが先に反応してしまうこともある)
・Ctrl+C / X / V:コピー・切り取り・貼り付け
部分修正の基本。壊れたパーツを複製して持ってくる、左右反転して流用する、といった使い方で頻出します。
・Ctrl+Z / Y:一つ前に戻す
説明不要。きれいに線が引けるまで連打します。
・Ctrl+S:保存
Ver.5.0からは動作ごとの逐次保存ができるようになったので、かなり安心ではありますが、ちょくちょく自分で保存する癖はつけておいたほうがいいです。ただし、レイヤーを統合してしまったあとに「保存」してしまうともう元に戻せない(レイヤーごとに作業できなくなる)ので、作業終盤でレイヤー統合をするときは別名のファイルとして保存する癖をつけます。

キャンバス設定について
クリスタではまず「キャンバス」を開くところから作業が始まります。生成画像にちょっと手を入れる程度なら、生成したAIイラストのpngファイルを「ファイル▶開く」で呼び出してそのまま作業することもよくあります。ただ、複数のAI絵を組み合わせるようなちゃんとした作品に仕上げる場合は、用途ごとに決まったサイズ・解像度の空キャンバスを解像度高めで開き、その中にAI絵を画像素材レイヤーとして読み込み、作業した方がよいでしょう。

・画像サイズと解像度の違い
画像のサイズは「ピクセル単位の物理的な縦横の長さ(例: 1024×1408px)」、解像度(dpi)は「その中にある画素の密度」を指します。解像度は「1インチ(約2.54cm)にどれだけドットが詰まっているか」を意味していて、ディスプレイに表示するだけなら72dpi程度で作業してOKですが、印刷する(現実世界に取り出す)場合は300~600dpi程度必要、くらいに思っておくとよいです。よく分からずに超高解像度のキャンバスにすると、当然ですがクリスタが超重くなります。
「ファイル▶新規」を開くと、このように作品用途ごとにイラストや漫画などの設定が選べます。AI絵を編集する場合、通常はこちらの「イラスト」を使います。基本表現色は「カラー」のほか、モノトーンではあるがグラデーション表現ができる「グレー」、完全に白か黒しかなくグラデーションできない「モノクロ」(主に漫画印刷用。グラデーションは「トーン」で代替表現する)があることを覚えておきましょう。「テンプレート」から、デフォルト登録されているコマ割りが最初から入った状態でキャンバスを開くこともできます。

同人誌など、印刷する漫画を作る場合はこちらの「コミック」を選びます。製本時を意識して原稿用紙のサイズで指定し、トンボと枠がつくのが「イラスト」との違い。ちなみに、下のスクリーンショットで隣にあるアイコンは、「EX」でだけ使える複数ページ管理モードの「コミック」です。

<AI絵の適正キャンバスサイズ>
私は普段ローカルでAI画像を生成する際、1024x1408pxを基本サイズとして、hiresアップスケールで1.5倍にしています。つまり、出力されるAI画像は1536x2112pxとなります。Xではアスペクト比が4:3だと見切れませんが、このサイズは8:11なので、そのまま縦長の状態でXに投稿すると上下がちょっとだけ見切れます。

▶Xのサムネイルでは、ポニテの上がちょっと切れている
生成した画像をそのまま「ファイル▶開く」で1536x2112px(解像度72dpi)のまま作業してもいいのですが、ちゃんと新規キャンバスから作業を始める場合は、比率が3:4になるように1500x2000pxか1800x2400pxの縦長キャンバス(解像度300dpi)で作業開始することが多いです。最終的に見栄えを考えてトリミングすることもあるので、あまり厳密にアスペクト比を固定しているわけではありません。
いずれにせよ、最後どのようなサイズで出力するかに関係なく、道中はやや大きめのキャンバスで作業をするのが基本です。作業中のキャンバスサイズより大きく出力することはできない(細部がガビる)からですね。とはいえ、あまり大きすぎるサイズで作業するとクリスタが重くなってしまいます。NanoBananaなども含め、いまどきのAI画像はだいたい長辺2000px程度で出力されることが多いことを考えると、やはりそれくらいのキャンバスサイズ(かつアスペクト比4:3前後)で作業するのが基本ではないかな、と思います。
<保存・投稿時の適正キャンバスサイズ>
画像が完成したら「ファイル▶画像を統合して書き出し」を選びます。今開いているキャンバス自体のサイズや解像度は変更せず、出力される画像サイズを自由に決定することができます。基本はリッチなpng形式で保存しますが、ウェブサイト上でスムーズに表示してもらいたいならjpg形式を選んでファイルサイズを小さくします(ディティールはある程度劣化して失われます)。表現色は基本的に「最適な色深度を自動判別」を選びますが、印刷など特段の事情がある場合はグレースケールやモノクロ、RGBから選びましょう。処理方法は「イラスト向き」のほうが高品質です。

出力する画像のサイズは「元データからの各縮率」もしくは「出力サイズ指定」で決定します。SNSにおける画像投稿の適正サイズは、以下のサイトが参考になります。
Xは大半のユーザーがスマホで見ている関係上、横長のキャンバスだとTL上で表示サイズが小さくなってスルーされがちなので、特に理由がなければ基本的に4:3の縦長で1枚投稿するのが一番安牌だと思っています。2枚同時投稿とか、横型のイラストは相当魅力的か、何か仕掛けがないとスルーされがちですね。

細部まで拡大して見てほしいイラストの場合は、長辺が2048pxくらいになるようにpng保存しますが、ちょっとしたネタ絵程度で細部をごまかしたい場合(あまり拡大して見てほしくない場合)は一辺1024pxくらいに縮小して保存することもあります。ファイルサイズが5MBを超えるとXに投稿した際自動で劣化してしまうので、投稿時にチェックしておきましょう。
・よく作るキャンバスサイズを登録しておこう
よく使うキャンバスサイズはプリセット登録しておくと便利です。「ファイル」▶「新規」から、登録したいキャンバスサイズを入力して、プリセット欄の右横にある「↓」のようなボタンを押すと、「ツイッター用(縦)」「FANBOXサムネイル」といった名前をつけてキャンバス設定を保存できます。こうしておけば、次からは「プリセット」のドロップダウンメニューからすぐ呼び出せるようになります。


AIイラスト編集に使える素材をDLしよう
CLIPSTUDIOにあって、そこらの無料画像編集ソフトにないものはいろいろありますが、一番の違いは「素材の豊富さ」。ブラシや吹き出し、集中線、グラデーションやオートアクションなど、さまざまな「アセット」をダウンロードして使うことができます。イラスト初心者ほど完成品のクォリティが上がり、上級者ほど時短になるので、最初だけと言わず、作業ごとに「何かアセットで使えるものはないか?」と検索するクセをつけるとよいでしょう。
こちらがクリスタで使える素材が多数掲載されている「CLIP STUDIO ASSETS」。
ログインした状態で各ページにある「ダウンロード」をクリックすると、クリスタPAINTの「素材パレット」のダウンロードフォルダに素材が登録されます。

「素材パレット」は、デフォルト配置なら画面右側にあるコレのこと。もともと「吹き出し」や「カラーパターン」などかなりの数の素材が登録されていますが、ここに各ユーザーさんらが投稿した素材をどんどん追加していくことができます。(フォルダ群の一番下にある「ダウンロード」フォルダに追加されます)

ブラシ系の素材なら、ここから画面右側のツールパレットに、画像素材ならキャンバス上に直接ドラッグすることで読み込めます。例えばキャンバス上にテキストツールで文字を打ったあとに、このような多数の吹き出しから好みのものを選んでドラッグするだけで、簡単に吹き出しを作ることができます。(もちろん吹き出しを手描きするペンもあり、やりたい放題)

ちなみにVer.5.0から「最近使用した素材」欄ができ、「三」ボタンからのソート機能でも「使用頻度順」を選べるようになりました。気になった無料アセットをかたっぱしからDLしていると、素材パレットがすぐにいっぱいになってどこに何があったか分からなくなってしまうので、よく使う素材は「お気に入り」フォルダに入れたり、使用頻度順にソートしたりしてすぐ見つけられるようにしておきましょう。
・GOLDとCLIPPYについて
アセットには無償で頒布されているものと、有償のものがあります。クリスタアセットは「円」で直接購入することができないので、「GOLD」か「CLIPPY」というポイントを消費して購入する必要があります。

GOLD:クレジットカードかコンビニ払いで「購入」し、CLIP STUDIOサイト上でお金として使えるポイント(基本1円=1GOLD)。500GOLDを500円(税込)から購入可能だが、購入から1年後の月末で失効する。
CLIPPY:CLIP STUDIOサイトでの活動に応じてたまっていくポイント。ログインボーナスがあるほか、自分でアセットを配布することでも貯めることができる。CLIPPY通帳でためていく「マイCLIPPY」と、アセット頒布者がためられる特別な「コンテンツCLIPPY」があり、マイCLIPPYは獲得から6か月後の月末に失効する。
CLIPPYはGOLDと違って直接購入ができませんが、200GOLD支払って「GOLD会員」になると、毎月1,500CLIPPY+αがもらえるので、クリスタを始めたてのときやどうしてもCLIPPYで欲しいアセットがあるときは、1ヶ月だけGOLD会員になってすぐに解約するとよいでしょう。
GOLD会員になるための支払いはGOLDでしかできず、GOLDは500GOLD/円単位での購入が必須です。500GOLD購入したら300GOLD余るので、使わずに来月もGOLD会員継続してさらに1,500CLIPPYもらう手もありますね。ちなみに、GOLD会員だとマイCLIPPYの有効期限が無期限になる特典もありますが、AIイラスト用途なら必要なものだけ最初に購入しておしまいということが多いかと思います。
・アセットからDLしてきたツールを使うには
ASSETSからダウンロードしてきた素材は、どんな種類のものでも素材パレットの「ダウンロード」フォルダにまずは並びます。画像素材の場合はそのままキャンバスにドラッグして使うのですが、ブラシツールなどはこのままでは使えないので、ツールグループに「登録」する必要があります。

例ペン系のツールなら、「ペン」のツールグループに素材パレットからドラッグします。ここに並んで初めてツールとして使えるわけですね。(※初期設定で紹介した"ダウンロード素材の自動登録設定"をオンにしていると、自動で"ダウンロード"というツールグループに追加されるので、そこからドラッグすることになります)

複数の素材をいっぺんにドラッグしたいときは、一番上の素材を選んだ状態でShiftキーを押しながら一番下の素材を選ぶと一発で選択できます。
ペンツールの中には「ペン」と「マーカー」というツールグループが入っているので、ダウンロードしたブラシをそこに追加していきますが、私はエッチ系のブラシが入るツールグループをそこに足しています。このブラシ群でいったい何を作っているんでしょうね…。

こちらが素材パレットからペンツールグループにブラシを登録するところ。Ctrlキーを押しながら複数のツールを選択して、一気に登録することもできます。

素材がツールパレットへドラッグできない場合は、それがブラシなどの「ツール」ではなく、画像素材やグラデーション、オートアクションなど別種類のアセットであることがほとんど。そういう素材は、直接キャンバス上にドラッグして貼り付けたり、オートアクションに登録して使ったりする必要があります。(アセット配布ページで説明されていることが多いです)

小括
今回は加筆修正の具体的なやり方に入る前に、必要な基礎知識と環境整備について見てきました。第2回では、2022年からAIイラストをあれこれ編集してきて、便利に使えたアセットをまとめて紹介します。その上で、AIイラストの瞳や手の修正、カラーやトリミングの調整、エフェクトや仕上げグラデーションの掛け方、AI漫画作業の基本などを連載形式でまとめていければと思います。
特に、ver.5で新装された「スマートシェイプ」は私のようにきれいな線が引けない初心者には福音となりそう。まだ出たてなのでほとんど検証できていませんが、AIイラスト用途にどのように活用できるのか、どんどん実験して知見を紹介していきたいところです。
こちらの「何すか?」の吹き出しはスマートシェイプで描きましたが、めちゃくちゃ使いやすかったですし、仕上がりも入り抜きがあって自然ですよね。AIユーザーは私と同様、きれいな線をフリーハンドで引くのに慣れていない人が多いと思うので、特に漫画用途などでこのツールは大変便利に使えると思います。

>>第2回に続く










