
こんにちは、スタジオ真榊です。今回は、画像編集ソフト「CLIP STUDIO PAINT」(以下クリスタ)がver.5.0にアップデートされたのを機に、絵が描けなくてもできるAIイラストの加筆・編集・仕上げについて、複数回にわたって特集したいと思います。「第1回」ではまず、クリスタの基礎知識とグレード・ペンタブの選び方、大事な初期設定などについて、ver.5.0準拠で紹介します。【約21,000字】
AI絵とクリスタについては数年前にも全3回で連載しましたが、その後アップデートやNanoBananaなど新モデルの登場で環境は大きく変化しており、AIイラスト・漫画用途での活用法についても知見が集まってきました。今回のver.5.0アップデートでは、直線や図形を素人でもきれいに引ける「スマートシェイプ」を始め、AIイラストの加筆修正にもうれしい機能が各種新装されていますので、現環境でのAIユーザー向けクリスタ活用術を改めてまとめたいと思います。
筆者はお絵描きの経験もスキルもほとんどないので、この記事では才能や熟練と関係がない「覚えるだけですぐできる知識」に着目して、あくまでAIユーザー目線のTIPSを紹介していきたいと思います。AI絵の破綻修正をはじめ、より魅力的に見えるようカラーや質感を調整したり、漫画風に吹き出しやコマ割り、擬音、集中線を入れたり、エフェクトを加えてより魅力的に仕上げたりする方法を、絵の経験やCLIPSTUDIOの知識がない方にもスッと分かるよう解説していきます。
CLIPSTUDIOってどんなアプリ?
CLIPSTUDIOは、PC・タブレット・スマートフォン向けのお絵描き・漫画制作アプリです。ブラシ素材や吹き出し、エフェクトなどをダウンロードできる非常に便利な「アセット」(素材集)をはじめ、イラスト・漫画の作画を大幅に効率化できる各種機能が実装されており、お絵描き初心者からプロのイラストレーターや漫画家まで、幅広く利用されています。

(※公式サイト:https://www.clipstudio.net/ja/ より引用)
特別な技術がなくても、コマ割りや吹き出し、テキスト、集中線、トーンなどがワンアクションでできるので、AIイラストを生き生きとした漫画に仕上げることが可能。ver.5.0では、線の震えを自動補正してきれいにしてくれる「スマートシェイプ」機能などが実装され、さらにお絵描き初心者に優しくなりました。

▲きれいな線を引けなくても、クリックや文字ぽちぽちだけで漫画風にできる
PhotoshopがどちらかというとCGや写真編集に向いたソフトなのに対し、CLIPSTUDIOはよりイラスト・漫画創作文化にフィットしたソフトと言えると思います。PhotoshopではNanoBananaや生成拡張、回転機能など、最新のAI生成機能がどんどん導入されているのに対し、CLIPSTUDIOを提供するセルシスは「画像生成AIを用いた機能を今後CLIP STUDIO PAINTには搭載しない」と宣言していますので、そういう意味でも趣の異なるソフトと言えるかもしれません。
・グレードと契約プラン
クリスタには、高級版の「EX」、通常版の「PRO」の2グレードがあります。他にCLIP STUDIO TABMATEという機器やPixivプレミアムを購入するとついてくる「DEBUT」もありますが、こちらは体験版のような位置づけ。利用金額はグレードによりますが、「一括払いか年・月払いか」「対応デバイスは1つか複数か」「ダウンロード販売かパッケージ販売か」によって細かく変わるため、やや複雑です。(これから板タブを買う人は、クリスタの使用権がセットでついてくることがあるので確認しておきましょう)
まず、一括払いで入手できる最新の「Ver.5.0無期限版」はPROが6,900円、EXが28,900円です。これはあくまで「Ver.5.0を」無期限に使えるプランなので、今後さらにアップデート版が出た場合は追加料金の支払いが必要。アップデートプランはPRO 1,200円/年、EX 3,400円/年ですので、古いCLIPSTUDIOの無期限版を購入済みの方も、このアップデートプラン料金を支払えばVer.5.0を使うことができます。

(※CLIP STUDIO PAINTラインナップ:https://www.clipstudio.net/ja/lineup/ より)
一括払いのほかに、年払い・月払いも可能です。1デバイスの年額・月額利用プランはPROが480円/月・3,000円/年、EXが980円/月・8,300円/年。いずれも初回申込み時は最大3~6ヶ月無料(※デバイスによる)ですので、初めてクリスタを購入する方はこちらが有力な選択肢になろうかと思います。

月額払いのメリットはアップデート時も追加料金なしで使用できることですが、デメリットは使い続ける限り無限にお金を取られるということ。一定期間月額払いしたあと、お金がもったいなくなって一括払いにすると逆に総額がかさむので、Ver.5.0のアプデを機に一括で購入するのは賢い選択かもしれません。次回アップデートプランを追加で契約するかは、どうしても欲しい機能が実装されているかを確認してから決めれば良いですしね。
結論を言えば、まずAIイラストを加筆修正したり、セリフをつけたり、エフェクトを入れたりする目的であれば、通常版の「CLIP STUDIO PAINT PRO」で十分だと思います。公式の説明では、「お絵描きならPRO・漫画制作ならEX」という雰囲気ですが、コマ割りや吹き出しなど一通りの画像編集はPROで十分できます。EXの強みは、漫画制作における複数ページの管理やセリフ差分機能、縦長フリックで読む「Webtoon」制作、一部のPDF/電子書籍書き出し、本格的な長尺アニメの制作などができること。「これから数十ページの漫画作品をばんばん出していきます!」という方はともかく、AIイラストの編集が主目的なら、最初から「EX」を買わなくても困らない人が多いでしょう。
私は「PRO」の一括購入で始めたのですが、FANZA向けの漫画を作る上で「EX」だけの「複数ページ管理機能」やセリフを一括操作できる「ストーリーエディター機能」に関心があり、あとから追加料金を払ってEXにアップグレードしてみました。正直2万円以上の差を感じるほどの差は感じませんでしたが、確かに複数ページ管理機能は便利でした。(ストーリーエディターはあんまりピンと来てません)
どうしても今決められない人は、とりあえずこちらからクリスタをインストールしてみて、「EX」を980円/月額プランで1か月契約し、3か月間の無料期間+1か月の間に自分に合ったグレードがEXかPROか確かめて、気に入った方を一括購入すると良いかなと思います。クリスタのアカウントを作ってログインするだけでも1か月無料で利用できますので、いずれにせよまずは使ってみましょう!

▲無料期間はデバイスによって異なる

AIイラストに適したペンタブは?
クリスタを導入するなら、ペンタブも一緒に購入することを強くおすすめします。マウスではどうしても細かい作業が難しく、特にAI絵独特の破綻修正や手書き文字には向かないからです。数千円の中古品でも、エロ絵に擬音がちょこっと書けるだけで超楽しいので、ぜひ買いましょう。
ペンタブは大きく分けて、画面付きの高価な液晶ペンタブレット(液タブ)と、画面なしの板タブに分かれます。絵をあまり描かない人がAIイラストの加筆修正に使うなら、1万円以下の安価な板タブで十分です。

AIイラストを手で編集する場合、ゼロから人体を描き起こすわけではないので、イラストレーターに求められるような繊細な運筆はそこまで要求されません。ペンデバイスの利点は、マウスと違って感圧があり、線の太さや濃さ、入り抜きを変えられること。そして本体やペン側の物理ボタンに「取り消し」「やり直し」「右クリック」「ペン/消しゴム切り替え」などを登録できることです。絵の経験がない場合、AIイラストの修正はとにかく取り消しとやり直し(アンドゥ/リドゥ)の連打になるので、ここが快適かどうかで作業速度が大きく変わります。
ペンタブメーカーでいま主流なのは、国産メーカーのワコムと中国メーカーのXPpen。家電量販店でもこの2社の商品が多く並んでいます。ワコムはブランド力や性能・耐久性に優れますが、比較的高価。XPpenはワコムよりかなり安価ですが、性能はかなり比肩してきているようです。性能は商品によって細かく異なりますが、「本体のサイズ」「傾き検知対応の有無」「端子が通常のUSBかType-Cか」「物理ボタンが本体とペンにいくつあるか」「Bluetoothまたは専用レシーバーで無線接続ができるか」あたりがポイント。
個人的に使ってきたのは、ワコムの小さくて古い「Intuos」というモデルです。ipad miniくらいの大きさで、有線モデルですが、使うときだけ引っ張り出すので特に気になりません。本体ボタンは4つ、ペンのボタンは2つあって便利ですし、サイズは一番小さいもので特に問題なし。Intuosのように平らなモデルなら、キーボードの下に使わないとき重ねておけるので便利です(傷つくかもしれませんが…)

ちなみに、公式サイトなどで現行モデルを購入するとCLIP STUDIO PAINT PROの2年ライセンスがついてくるので、クリスタと板タブを同時購入するつもりの方は二重払いにならないようよく確認しておきましょう。そうしたライセンスや補償などを気にしないなら、メルカリなどで中古品を入手するのもよいでしょう。

こちらは価格コムの板タブ人気機種一覧。AIイラストの編集用途なら、1万円以下の小さいモデルで全く問題ないです。ワコムならIntuos Smallベーシックの最新版がおすすめで、配線が気になる人はワイヤレスがよいかも。

ちなみに、3500円で買えるXPpenの「Deco Fun XS」は、激安ではありますが本体に物理ボタンがないのであまりおすすめしません。スタイラスペンを持ってない方の手で取り消しボタンを連打できないからです。AIユーザーには細かな性能差より、本体とペンの物理ボタンの数が大事だと思います。
・紙を貼ると長持ち?
私は先日から、本体表面にコピー用紙を切ったものをマスキングテープで貼り付けて使ってみています。見栄えが悪いですが、これがなかなかいい感じ。(※20x16cmのIntuos smallサイズでこの大きさ。小さいと感じたことはないです)

ペン先の感覚がカツカツからサリサリした感じに変化して書きやすく、ペン先の減り(※)も遅くなります。本体も傷つきにくくなるそうですが、貼り始めたときはもうぼろぼろだったので時すでに遅し…。もっときれいに貼れるオーバーレイシートも販売されていますが、私にはコピー用紙で十分です。ただ、濡れたり汚れたりすると貼り替えないといけないので、飲み物には注意。
(※意外ですが、ペンタブをしばらく使っていると、ペン先が本体と擦れあって斜めに削れていきます。Intuosのペンはお尻を回すと中に替え芯が入っていますので、違和感を覚えたら取り替えましょう)

CLIPSTUDIOのインストールとマニュアル

CLIPSTUDIOは、「インストーラーをダウンロード」▶「実行してPC内にインストール」▶「ライセンスを購入・登録」の3ステップで利用開始できます。タブレットやスマートフォン版の場合は、普通のアプリと同様にApp StoreやGoogle Play Storeでインストールし、ライセンスを登録する必要がありますので、詳しくは公式サイトの案内をご覧ください。
あまりAI絵をタブレットやスマホで編集する人はいないと思うので、この記事では以下、PCで操作することを前提に解説していきます。導入が済んだら、まずはこちらの「公式マニュアル」をさくっと確認しておくこと!基本的な使用方法はここにほとんど書いてあります。
公式マニュアル以外で参考になったのは、こちらの書籍「CLIP STUDIO PAINTの良ワザ事典」。ちょっとお高いので、絶対買わないといけないというわけでは全然ないのですが、ざっと読むと何となく全体像が分かりますし、辞典形式なので操作に詰まったときにさくっと調べられて便利でした。








