<NanoBananaProで漫画を作ろう!第1回特集から続く>
「7つの活用法」おさらい
さて、第2回の検証を始める前に第1回の特集をおさらいです。まず、NanoBananaPro(以下プロバナナ)で漫画作りをする際のやり方としては、以下の7つの手法が考えられるということでした。
プロバナナ漫画「7つの活用法」
①おおまかお題指示
②セリフや構図を詳しく文章指示
③コマ割り・セリフを画像で指示
④ネーム指示
⑤空白部分や「続き」の生成
⑥漫画の一部修正(漫画インペイント)
⑦最終調整(描写のパワーアップ・エフェクト等)
それぞれ詳しい内容は第1回の記事をご覧頂くとして、このうち①②③については前回の実践1~5で検証し、十分実用レベルであることが分かりましたので、今回は④の「ネーム指示」から、残りを順番に検証していきましょう。

実践6.ネームで構図を指示する
前回はこのように、絵のない「カラのコマ割り画像」を入力することで、漫画全体の流れを固定して意図通りの作品に仕上げてもらうやり方を実践しました。7つの活用法でいうと、③に当たるやり方ですね。

キャラクター画像を参照させれば、このように概ね吹き出しの位置を守りつつ、ふさわしい絵の内容をプロンプト指示できることがわかりました。
今回はさらに、このカラのコマ割りに加えて「人物配置までトンチキ絵で指示するやり方」について掘り下げてみます。ネームのプロバナナ処理については、人気格闘漫画「ケンガンアシュラ」のだろめおん先生が既に試されていますが、プロのネームならこのように、非常に高品質な生成結果を得ることができています。
ただ、こちらのツリーを見ますと、「線が溶けていてちょっと直す程度でどうにかなるものではない。最初から手描きのほうが早いか、直す方が早いかなんとも判断がつかない」ともコメントされていて、プロ目線ではやはり完璧とは行かないようです。
とはいえ、これはプロの連載レベルの話ですので、SNSに投稿して楽しむ趣味の画像生成としては十分なクォリティに到達していると思います。こうしたプロレベルのネームを素人が手描きするのは非効率というよりそもそも不可能ですが、誰でも可能な「棒人間」レベルのトンチキ絵でも構図指定ができるかどうかがまず気になるところ。さっそく、次のようなお題で試してみました。
【2chコピペ "ポイントカードはお餅でしょうか"】
店員「当店のポイントカードはお餅でしょうか」
ぼく「えっ」
店員「当店のポイントカードはお餅ですか」
ぼく「いえしりません」
店員「えっ」
ぼく「えっ」
店員「まだお餅になってないということでしょうか」
ぼく「えっ」
店員「えっ」
ぼく「変化するってことですか」
店員「なにがですか」
ぼく「カードが」
店員「ああ使い続けていただければランクがあがってカードが変わりますよ」
ぼく「そうなんだすごい」
店員「ではお作りいたしましょうか無料ですよ」
ぼく「くさったりしませんか」
店員「えっ」
ぼく「えっ」
店員「ああ期限のことなら最後に使ってから一年間使わないときれます」
ぼく「なにそれこわい」
店員「ちょくちょく来ていただければ無期限と同じですよ」
ぼく「なにそれもこわい」
店員「えっ」
ぼく「えっ」
<①ネームから4コマ漫画をつくる>
こちらを、次のようなコマ割りで生成することにします。えんぴつでコピー紙に書いたものをスマホで撮影したものです。

吹き出しの文章も含めて生成してもらいたいので、次のような指示をします。
指示:@img1 のコマ割りをもとに、白黒の4コマ漫画を生成してください。コマは上から下へ、各コマは右から左に読みます。登場人物は @img2 の眼鏡の女の子と中年のおじさん店員です。 <1コマ目> 絵の内容:コンビニ。会計のカウンター越しに男性店員と女子高生が会話している。右に店員、左にミナちゃん。 店員「当店のポイントカードはお餅ですか」
ミナちゃん「いえしりません」 <2コマ目>
絵の内容:構図は同じで、右に店員、左にミナちゃん。
店員「まだお餅になってないということでしょうか?」
ミナちゃん「カードが…変化するってことですか」 <3コマ目>
絵の内容:構図は同じで、右に店員、左にミナちゃん。
店員「使い続ければランクがあがって変わりますよ」
ミナちゃん「くさったりしませんか?」<4コマ目>
絵の内容:手前に店員の後頭部。奥にミナちゃんがこちらを向いて立っている。 店員「期限のことなら一年間使わないときれます」 ミナちゃん「なにそれこわい」(心の声なので、吹き出しのかたちは放射線にする)
Freepikでこのように入力します。参照させているのは、さきほどのトンチキネームとミナちゃんの容姿です。

こちらが生成結果です。

コマ割りに書いた「後頭部」の意味が伝わらず、そのまま出てしまいましたが、文字ミス以外はおおむね意図通りになったようです。並べてみると分かるのですが、吹き出しの位置(コマのどのあたりにあるか)もきちんと守ってくれていますね。

ただ、1~3コマ目の人物はほぼ引き写しで、漫画としてはとても単調になってしまいました。これはプロバナナのせいではなく、雑なネームをちゃんと守らねばという意識づけが強すぎて、自由度が奪われてしまったために起きた現象ではないかと思います。
そこで、今度はネームによる縛りを行わず、前回のように先ほどのコピペをGemini 3 proにYamlプロンプト化してもらい、4コマ漫画化してみます。「ぼく」に当たる部分をミナちゃんの容姿として、Gemini 3 Proに次のように指示しました。
指示:これを四コマ漫画のyamlプロンプトにして。コマは上から下へ、各コマは右から左に読みます。「ぼく」のところはこの女の子のキャラデザにしてください。店員は男性です。店員「当店のポイントカードはお餅でしょうか」ぼく「えっ」(※以下コピペ全文)
Yamlプロンプトを要求したので、次のようなスタイルでの返答がありました。

こちらが全文です。
title: "ポイントカードはお餅ですか"
format: "4koma"
layout:
panel_order: "top_to_bottom"
reading_direction: "right_to_left" # 右の吹き出しから読む
characters:
boku:
role: "Main character (Left side)"
design: "Girl, black hair with green inner color, side ponytail, green hair ribbon, red framed glasses, white headphones around neck, grey cardigan, sailor uniform, green neckerchief, blue pleated skirt, cute, airhead expression"
clerk:
role: "Store Clerk (Right side)"
design: "Male, convenience store uniform, young, black hair, friendly smile"
storyboard:
- panel: 1
composition: "Clerk on right speaking, Boku on left looking confused"
dialogue:
bubble_1_right: # 店員
text: "当店のポイントカードはお餅でしょうか"
bubble_2_left: # ぼく
text: "いえしりません"
- panel: 2
composition: "Clerk on right looking puzzled, Boku on left asking back"
dialogue:
bubble_1_right: # 店員
text: "まだお餅になってないということでしょうか"
bubble_2_left: # ぼく
text: "カードが……変化するってことですか"
- panel: 3
composition: "Clerk on right explaining enthusiastically, Boku on left looking worried"
dialogue:
bubble_1_right: # 店員
text: "使い続ければランクがあがって変わりますよ"
bubble_2_left: # ぼく
text: "くさったりしませんか"
- panel: 4
composition: "Clerk on right explaining expiration, Boku on left looking terrified"
dialogue:
bubble_1_right: # 店員
text: "期限のことなら一年間使わないときれます"
bubble_2_left: # ぼく
text: "なにそれこわい"
英語主体のYamlプロンプトは加筆修正が面倒なので余り好まないのですが、まずはこちらのプロンプトだけで画像生成してもらいました。Gemini上での指示では、ミナちゃんの参照用画像を貼って「じゃあこれで画像生成して」と頼むだけです。
こちらが生成結果。

左右の立ち位置程度なら、わざわざ手描きでネームに起こして指示しなくてもプロンプトだけで再現できてしまうのですね。また、雑なネームを入力すると、そのテイストに引っ張られて全体のクォリティも下がりますし、先ほどの「後頭部」のような誤解も生じがちです。わざわざネームにする必要があるのは、普通に生成するのが難しい複雑なコマ作りのときや、もともと自分でネームが十全に描ける方で、その指示を厳密に守って作画してほしいときなどに限られるかもしれません。
<②ネームから1p漫画を作る>
そこで、今度は4コマではなく、少しアクションのある漫画の導入部をネーム指示で作ってみます。Clipstudioで作ったこちらの導入ネームを読み込ませると、どれくらい位置関係やポーズなどを守ってもらえるでしょうか。

指示はこのような感じ。例によって、ネームとともにミナちゃんの参照画像を与えています。

指示:1枚目のネームを白黒漫画化してください。 ネームは吹き出しやキャラクターの位置を指示するだけのものですから、厳密に守る必要はありません。登場人物はひったくり=Tシャツ姿の太ったおっさんと、眼鏡ポニーテールの女子高生(2枚目の画像)の二人です。コマは右上から左下に向かって読みます。1コマ目、「グラボ泥棒だーッ!」と誰かが叫ぶ声。大きなグラボの箱を抱えて目の前を猛スピードで駆け抜けていくひったくりを、片手にコーラを持っている女子高生が驚いた様子で見つめます。グラボには「RTX99990Ti」と書かれています。2コマ目、持っていたコーラの缶を握ってニヤリと笑う女子高生。眼鏡が光ります。3コマ目、持っていた缶を画面左奥に向けて投げる女の子。迫力のあるパースと集中線をつけてください。奥にコーラの缶が飛んでいきます。左上に小さくひったくりの後ろ姿を描きます。セリフ「てりゃあーっ!!!」擬音:ブンッ 画像のみで返答すること。
雑ネームに引っ張られて低品質化しないよう、一応念を押してあります。注意したところは、1コマ目は導入なので秋葉原の背景が欲しいこと、コーラを全てのコマで持っていることを強調することくらいでしょうか。位置関係が客観的に分かりやすく書いたつもりです。
こちらが生成結果。

カンのプルタブが空いているとあんまり当たっても痛くなさそうですが(笑) 構図はちゃんと守れていますね。立ち位置だけの指定だったさきほどの4コマに比べると、これくらい情報量が増えればある程度ネームで指示する意味があるかなと思います。
2枚を並べるとこのような感じで、正直私の絵をここまで忠実に守ってもらわないほうがもう少し品質は上がったような気がします。これを使いこなすには、説得力のある構図を手描きできるレベルの画力がないと難しそうですね。

良くも悪くも、書いたものが頭身やポーズも含めてかなり忠実に再現されるので、きちんと画面作りができていないと不自然になってしまう感じ。冒頭で紹介しただろめおん先生のケースのように、しっかりしたネームを手で描けるほど、AI任せにする必要がどんどん薄れてきますし、画力がトンチキすぎると生成画像の品質も下がるし…というジレンマがあるように感じました。

実践7.漫画の「存在しない続き」を作る
次は、ある作品をプロバナナに入力し、「存在しない続き」を作ってもらう検証を行ってみます。
例えば、ある4コマ漫画を見せて、存在しない「2話」を推論させたり、空欄にしてあるコマを埋めてもらったり、逆に最終コマから逆算して導入部を考案してもらったりと、さまざまな応用が考えられます。キャンバス外の「存在しない続き」を生成することをアウトペイントと呼びますが、こちらは「存在しないシーン」を追加するものなので、「シーン拡張」とか「エクストラシーン生成」のような手法と言えるでしょうか。
<4コマシリーズの新作を考えてもらう>
まずは、前回作った「武威裸夢様」の4コマをこのようにGemini Pro 3に見せて、続きを考えてもらいます。登場人物や舞台設定を応用して、テイストの一貫した「2話」を作ることができるでしょうか?

プロンプト指示はこのような感じ。特に目立った工夫はなく、スタンダードに依頼しています。
指示:この4コマ漫画シリーズの新作を自由に考えて画像生成してください。登場人物はポニーテールのAI部員とロングヘアのAI部部長が基本ですが、新キャラを出しても構いません。参考までに、この4コマを生成したときのプロンプトは以下の通りです。(以下、入力画像のプロンプトを貼り付け)
こちらが生成結果です。

おお…。
まあ、言いたいことはあれこれあるとして、どうしてこうなったかを考えてみましょう。
「最新のウソVRAMがAI部に届く」という導入はツカミとして普通に面白いですし、例の部長が「最新のVRAM様には生贄が必要よ」と言い出すのも1話のノリを踏まえた正当な展開に思えます。しかし、その勢いをオチにまとめる力がなかったり、ミナちゃんが描かれるべきところに部長が出てしまったりと、プロバナナ任せでちゃんと仕上げてもらうのは限界があるようでした。
「新キャラを出してもいいよ」という指示はアイデアを広げるつもりで書いたのですが、プロバナナはなんとしても新キャラを入れなくてはいけないと印象づけられてしまったようで、不自然に「VRAMの精霊」が出てくるオチになってしまったように見えます。1コマ目~3コマ目までの流れはいいとして、これが成立するオチにするには、人間が考えねばなりませんね。
あれこれ考えてみましたが、ミナちゃんが新型VRAMの「生贄」にされてしまうが、フタを開けてみたら思ってたのと違う「生贄」だった…というオチでまとめるしかなさそうです。4コマ目を「自転車をこがされて武威裸夢様に送電させられるミナちゃん」にすると、北斗の拳に出てくる世紀末の奴隷感があり、ヒャッハー部員の皆さんの親和性も高そうだな、と思いつきました。
そこで、このように指示して改善させました。

読み順がおかしくなってしまうのを防ぐため、キャラの左右配置を念押ししています。RTX9090Tiをどれくらいの大きさにするかは悩むところですが…とりあえずどんなものが出てくるか見てみましょう。
こちらが生成結果です。

うーん…さっきのVRAMの精霊オチよりはまだましですが、あれこれ間違いがありますね(バーイン!って何…?)
これはこまごまと修正を繰り返すより、いったんゼロベースでちゃんとした脚本を作って、何度かガチャをしたほうがよさそうです。
自分でイチから脚本を書くのは面倒なので、このように指示して文字起こししてもらいました。こういう壁打ちをしながら作りたいときは、Freepikよりも断然Geminiのほうが便利です。Freepikはちゃんと完全にプロンプトが固まってから本番生成するのに使うイメージですね。

Geminiが生成してくれた脚本に自分で手を入れて、さきほど第1話を作ったときと同じような脚本に仕上げ、Freepikに投げることにします。Geminiのような壁打ちには向きませんが、Freepikでは縦横比などを指示できますし、キューを連続で入れられるのが便利ですね。
入力画像は以下の3枚。1話の全体の4コマ画像とミナちゃん、部長のアップにしました。登場人物のうちどれがミナちゃんでどれが部長か、それぞれどんな顔立ちかを念押しすることで、キャラクターの一貫性を保ってもらう狙いです。

プロンプトは以下の通り。
指示:@img1 この漫画の続きを生成してください。
登場人物設定: 新人AI部員: @img2 ポニーテール、眼鏡、首にヘッドホン、セーラー服。 AI部部長: @img3 長い髪、余裕のある目つき、セーラー服。 AI部の皆さん: 「北斗の拳」のような劇画調の屈強な男たち。額に「武威裸夢命」のはちまき、白いふんどし、目の周りはマッドマックスのウォーボーイズのように黒く塗っている。
タイトル: 「AI部」(横書き、ヘッダー部分)
各コマの構成: 1コマ目 状況: ミナちゃんが部室で、グラフィックボードの大きな箱(側面に「RTX 9090Ti」「情熱大陸」と書かれている)を部長に見せている。 セリフ(部員): 「部長、ついに最新のRTX 9090Tiが届きました!」 セリフ(部長): 「あら、すごいわね。」
2コマ目 構図: 左側にポニーテール部員(横顔、少し不思議そうな顔)、右側に部長(表情は変わらないが、顔に影が落ちていて少しホラーな雰囲気)。 セリフ(部長): 「でもね、最新のGPUにはより大きな『奉納』が必要なのよ。」 セリフ(ポニーテール部員): 「奉納…?」
3コマ目 構図: 右側: 巨大なグラフィックボード(RTX 9090Ti)に向かって両手を上げ、熱狂するふんどし姿の男たち。 左側: その様子を見て顔面蒼白になり、焦っているポニーテール部員。 セリフ(男たち): 「9090Ti様に生贄をおささげするぞォ-ッ!」(叫び吹き出し) セリフ(ミナ): 「生贄って、私じゃないですよね!?」
4コマ目(オチ) 状況: 右側: ミナちゃんが必死の形相で発電用の自転車を漕ぎ、パソコンに送電している。 背景: ふんどし男たちが歓喜して盛り上がっている。 左側: 部長がその様子を満足げに眺めている。 セリフ(男たち): 「ヒャッハー!」「新鮮な電気だぜェーッ!」 セリフ(部長): 「これで武威裸夢様の一部になれたわね」
こちらが生成結果。なんとこれ、いっさい加筆なしです!

1コマ目のセリフ「9090Ti」の「i」だけ落ちてしまいましたが、ほとんどプロンプトを守れていますね。特に2コマ目の部長の昏い表情はイメージした通り。「表情は変わらないが、顔に影が落ちていて少しホラーな雰囲気」という指示をよく理解してくれたと思います。
もちろん、最終コマのミナちゃんの表情の詰めが甘かったり、「ヒャッハー!」が二度出てきたり、VRAM様が空中に浮いていたりと、修正すべきポイントはあるのですが、4コマ漫画として最低限の流れは作れたのではないでしょうか。これをもっと魅力的にするには、やはりオチのビジュアルがほんわかすぎると思うので、ミナちゃんまで劇画調になって猛然と自転車をこぐなど、何かしらの工夫が必要ではないかと思います。








