こんばんは、スタジオ真榊です。この記事は、ローカル画像生成で2025年現在主流となっているSDXL系モデルについての特集です。そもそもSDXLとは何なのか、ライセンスの読み方やファインチューン、illustrious系を始めとした人気派生モデルの特徴などについて、幅広く解説しています。
以前はSDXLの入門モデルと言えば「AnimagineXLv3.0」でしたが、現在コミュニティ内で主流となっているのはillustrious系。こちらの記事(▼)のアップデート版という位置付けで、SDXLを触る上で押さえておくべき基本知識を網羅しています。
SDXL(StableDiffusionXL)とは
2023年7月にデビューした「SDXL(StableDiffusionXL)1.0」は、英StabilityAI社が提供するtext to imageモデルです。「illustriousXL」や「AnimagineXL」「pony diffusion」など、人気派生モデルとそれらのマージモデルが充実しており、記事執筆現在、Civitaiなどのプラットフォーム上で流通しているLoRAやControlnetの多くはSDXL向けとなっています。

2022年にデビューし、最初にローカル用として普及した「StableDiffusion1.5(SD1.5)」系列のモデルは512x512pxでの生成が基本で、当時の画像生成と言えば「小さく出して大きくアップスケールする」のが常識でした。これに対し、SDXLではいきなり1024pxクラスの高画質で生成しても、人体が奇形化したり、背景がおかしくなったりしなくなったのが最大の特徴。今では当たり前の生成サイズですが、当時としては「大きいサイズ」を意味する"XL"だったわけですね。
ライセンスも使いやすい内容だったことから、多くの派生モデルやLoRAなどがSDXLをベースとして作成・共有されました。StabilityAI社からはその後、後発モデルであるSD3やSD3.5などがリリースされていますが、SDXLはレビューから2年以上経過した現在も、ローカル画像生成の主流ベースモデルとして幅広く支持されています。
弱点としては、前景(キャラクター)の生成に優れている一方、背景の生成はやや苦手なところでしょうか。指などの生成もかなり安定するようになりましたが、6本指など破綻した画像が出たり、キャラクターが分裂してしまったりする不具合は残っています。SD3.5やFluxといった後発モデルはこうした部分を克服しているのですが、派生モデルやLoRAの豊富さ、ローカルでの取り回しの良さなどを考えると、やはりLoRAなどが充実しているSDXLのほうに軍配が上がったということです。
・NovelAIv3に採用▶「Animagine」でヒット
ベースモデルが異なると、LoRAやControlnetといった周辺技術が利かなくなるため、デビューしてすぐにSDXLが支持されたわけではありませんでした。転機となったのが、SDXLベースで初めてトレーニングされたNovelAI「v3」の登場です。当時としては驚異的な精度でアニメ調イラストを生成できるようになり、インペイントなども高品質にできたことから、SDXLの高機能ぶりを知らしめることになりました。
そして、SD1.5系からの「移住」が起こる直接のきっかけになったのは、人気アニメ調モデル「AnimagineXL3.0」(アニマジン系)の流行でした。NovelAIv3と同様、幅広い版権キャラクターの再現ができ、NSFW生成も得意だったことから、これをきっかけにローカル環境をSDXL向けに一新したユーザーが多かったように思います。
その後、SDXLベースの派生モデルではNSFW生成に優れた「pony diffusion」系が一世を風靡しました。pony diffusionはいまも愛好者が多いのですが、プロンプトを打つときにdanbooru語だけでなく「e621語」の理解も必要なため、少しクセが強いモデルとなっています。(詳しくは下記記事参照)
2025年夏現在は、さらにその次世代として流行した韓国AI企業発の「illustrious(イラストリアス)」系が主流となっています。この記事では、このillustrious系でローカル画像生成を始める方を想定して、必要な知識を紹介していきます。

SDXL利用に必要なグラボは?
さて、ローカル環境で画像生成を行うには、それなりに高性能なNVIDIA製グラフィックボードが必要となります。搭載しているVRAMの容量は最低8GB、できれば12GB以上のものがないと、GPUに負担のかかる高画質な画像生成や複数同時生成が難しくなります。特にローカル環境ならではと言える追加学習を自前で行う場合、最低VRAM12GB以上、できれば16GB以上を搭載したグラボがほしいところです。

▲スタジオ真榊で利用しているRTX4080はVRAM16GB。(購入記)
SDXL生成においては「VRAM12GBが快適利用できる最低ライン」「できれば16GBほしい」「24GBから万全」というのがリアルなところでしょう。VRAM8GB以下で頑張っているユーザーも少なくないと思いますが、LoRA学習や動画生成に時間がかかりすぎたり、大きいサイズで生成できなかったりする場面が増えると思いますので、画像生成のためにグラボを新規購入するなら12GB~が絶対おすすめ。
スタジオ真榊では激安10万円で譲っていただいたRTX4080(VRAM16GB)を使用していますが、普段作品作りやLoRA学習、動画生成を楽しむ上で十分なスペックを感じています。もちろん上を見れば限りないわけですが、時間のかかる作業は外出中や就寝中に行うことが多いので、16GBで不便を感じるのは24GBの世界を体験した者だけだと思います。
StableDiffusionにおける各グラボの生成速度については、「ちもろぐ」さんの記事が参考になります(2024年4月の記事)。一昔前だと、入門ならRTX3060(12GB)、背伸びしてGeForce RTX 4070 Ti SUPERやRTX4060Ti(16GB)、ガチなら4090(24GB)というのがおおかたの認識でした。グラボそのものの価格帯は5万から数十万円というイメージでしょうか。
現在はRTX50XXモデル(Blackwell世代)が登場しているわけですが、今年秋頃に5070 Ti SuperがVRAM24GBで出るという噂があり、なかなかグラボ選びの難しい時期かなと思います。もし24GBで出るなら私もほしい!
ローカル生成の楽しさは、枚数を気にせず好きなだけ画像生成できることや、さまざまな拡張機能を使えることが大きいですが、追加学習で自分だけの画風や表現を追求できることもNovelAIなどではできない醍醐味の一つ。せっかくローカル生成に手を出すのであれば、最低限12GB、できれば16GBのVRAMを搭載したグラボを選ぶことをオススメします。

SDXLのライセンス
SDXLの使い方に入る前に、大事なライセンスのお話です。例えばNovelAIやNiji journeyなど、ウェブ上の画像生成サービスで画像生成をする際は利用規約に従うわけですが、オープンソースのソフトウェアを使ってローカル環境で画像生成を行う場合には、ユーザーは使用するモデルに付されているライセンスに行動を縛られることになります。内容はものによって様々ですが、マージや再配布、NSFW利用、生成画像の販売を禁止するもののほか、利用時にモデル名や提供者名の表示義務を課しているものもあります(例:後述するNoobaiXLなど)。
ControlnetやLoRAなどにも個々にライセンスがありますので、CivitaiなどでDLする際は必ず確認するようにしましょう。(例えばControlnetのOpenposeを商用利用する場合、場合によっては年間約250万円のライセンス料が発生します)
StabilityAI社が提供する画像生成AIモデルは「CreativeML OpenRAIL-M」ライセンスか、その拡張版ライセンスで公開されています。これはモデルを無償・恒久で再配布・改変できる一方、差別・搾取・違法行為などの禁止用途を必ず受け継がせる、生成AIモデル専用のライセンス。SDXLのライセンスは拡張版の「CreativeML Open RAIL++-M」です。末尾についている"+"(プラス)は、もとのライセンスに追加の条件、制限、または拡張が加えられているバージョンであることを示しています。
▲SDXL1.0のライセンス全文。必ず一度は読みましょう
・CreativeML Open RAIL++-Mの概要
「CreativeML OpenRAIL-M」ライセンスには、ユーザーに著作権と特許上の無償・非独占ライセンスを恒久的に付与し、出力画像の権利は原則ユーザーに帰属することが明記されています。改変や再配布もOKですが、改変する場合はライセンス内容を継承することが必要です。
SDXLでやってはいけない禁止事項は、末尾の「別表A(Attachment A)」に列挙されていますので、必ず確認するようにしましょう。下図は機械翻訳ですが、現地の法律に違反するような用途全般や児童搾取、偽情報の拡散、個人情報の悪用、誹謗中傷・差別、法的権利を左右するような完全自動の意思決定、医療助言、司法・捜査・移民審査用途などが禁じられています。

他人への嫌がらせ目的や児童ポルノなどを生成するのでなければ、画像生成はNSFWを含め基本的にセーフで、商業利用してもロイヤリティーを取られることはありません。SDXLを利用していることなどをどこかに明記する義務もなく、派生モデルの公開も自由で、取り回しのしやすい内容となっています。
派生モデルもこのAttachment Aを最低限守ることが求められますが、新たに制限を加えることは可能です。初めてDLするモデルの別表は必ずチェックして、生成画像の販売やマージモデルの配布などが禁止されていないか確かめるようにしましょう。
・ライセンスとは別に「利用規約」もある
StabilityAI社は2025年7月31日付けで「利用規約」を変更し、同社の技術を使って性的な画像生成をすることを一切禁じると発表しました。これは各モデルに付与されたライセンスとは別のもので、StabilityAI社の技術を使用する場合、ユーザーは自動的に規約に同意したことになります。
SDXL系モデルは取り消し不可能な永続的ライセンスで「NSFW生成はOK」とされているので、この利用規約変更はSDXLユーザーには直接影響しませんが、ライセンスと規約の二重構造についてはユーザーとしてよく理解しておくことが求められます。StabilityAI社の規約変更については、こちらの記事で詳しく特集しています。












