こんばんは、スタジオ真榊です。今回は最新動画生成モデル「MiniMax H3」に、いきなり登場した爆速派生版「H3 Max」の検証記事です。

H3 Maxを使うと、音声つきの5秒動画をわずか3秒で生成することが可能。もちろん本家H3と同じく、手持ちのイラストをi2vで動かすことも、環境音やセリフを映像と同時に生成するr2vもできるようになっています。作ったのはMiniMax社ではなく、オンラインプラットフォーム「fal.ai」を提供する米fal社。ローカル向けにモデルが公開されているH3に独自の追加学習を施したもので、複数のベンチマークで本家H3を上回る評価を得ています。

要するに「見るよりも早くAI動画が生成できてしまうモデル」ですので、観客が動画を見ながら次の展開を投票で決められる「fal Live」という謎ライブ番組まで登場。「謎」としか言いようがない番組ですが、リンク先をちょっと覗いていただくと、驚異的な速度と精度が両立できていることが伝わるかと思います。

これを応用すると、「4択で進行する完全インタラクティブのPOVホラーゲーム」とか「対面が捨て牌にちゃんと反応してしゃべる脱衣麻雀」のようなこともできてしまうわけで、動画生成はまた次のステージに突入した感があります。

今回は、開発元のプラットフォーム「fal.ai」枠と、私が年払い契約しているMagnific(旧Freepik)の両方であれこれ検証しました。記事執筆時点ではH3 MAXをローカル環境にダウンロードして生成することはできませんが、今後本家H3と同様にオープンモデルにする方向とのこと。そうなると、Codexなどとの連携でますます個人のコンテンツ作りが加速しそうですね。【約1万4000字】

・モデル公開を示唆するYurtseven氏のコメント(fal.ai共同創業者)

<今回は最後にちょっとした「お知らせ」があります!>

何が違う?「H3 Max」概要

まずはモデルの概要から。「H3 Max」(正式名称MiniMax H3 Max)は、米fal社が2026年8月27日に公開した動画生成モデルです。ベースは前回特集したMiniMax H3。公開されているH3のモデルを、外部企業であるfal社が独自の追加データで事後学習した改造版(派生版)という位置づけです。

「H3の50倍速」と言われるように速度面が目立つモデルですが、falが強化したのは速度だけではなく「プロンプト追従」「映像の美しさ」の2点とのこと。AIモデルの高速化と言えば「一定の品質低下と引き換え」というのがこれまでの常識でしたが、それを乗り越えることを目指したモデルと言えるかと思います。

H3 Maxが対応している生成方法は次の通り。

・t2v(Text to Video):文章だけで映像+音声を生成する

・i2v(Image to Video):一枚の画像を開始フレームとして動画化する

・fl2v(First / Last Frame to Video):最初と最後の画像を指定し、その間の動きを生成する(ループ動画も可能)

・r2v(Reference to Video):画像・動画・音声を参照し、人物や画風、動き、声を新しい動画へ反映する

出力時間5~15秒、フレームレート24fps、セリフ・効果音・BGMを含むステレオ音声を映像と同時に生成できる点は本家H3と共通です。アスペクト比はt2vが21:9~9:16の6種類で、i2vは入力画像に準拠。ただし、現時点では768pxでの一発生成が限界で、2K生成はおあずけとなっています。

<ベンチマークは本家超え>

H3 MAX公開直後から、さまざまなベンチマーク結果が続々と出ていますが、多くは本家H3を上回る結果となっています。

人間による1対1の比較で順位を決める「Design Arena」のi2v部門では、本家H3を抜いて1位になり、「ベースモデル(H3)の品質を50倍超の速度で提供する」と報告されました。音声つき動画のリーダーボード「Artificial Analysis」でもi2vで1位デビュー、t2vも3位。fal自社の比較でも、Seedance 2.5・Kling 3・Veo 3.1などの商用モデル相手に勝ち越したとしています。

fal自身は「公式H3に比べて約35倍の速度」という言い方をしていて、測り方で数字は変わるものの、桁違いに速いこと自体は間違いなし。とはいえアニメ調生成での実力は未知数ですので、後半で実際に確かめていきましょう。

<どこで使える?>

執筆時点でH3 Maxを使うには、fal公式やMagnificなどの生成プラットフォームを利用するのが基本です。

・fal公式(無料枠あり)

画像・動画・音声・3Dの生成AIモデルをブラウザ上で使える米国の生成プラットフォーム。NanoBananaProやGPT Image2、Seedance2.5、Wan3といった主要モデルが600種類以上並んでいて、サブスク料金制ではなく「都度課金制」なのが特徴。現在、アカウント登録の必要なく1日5本までH3 MAXで無料生成できるキャンペーン中なので、お試しにはもってこいです。(利用回数は24時間ごとのリセット制で、生成内容に制限あり)

・Magnific(旧Freepik)

こちらは基本的にサブスク料金制で、プランごとに付与される「クレジット」を消費することで生成できるシステム。H3 Maxは公開当日の8月27日から使えるようになっており、r2vもいつの間にか対応していました。年払いすると安くなりますが、ただでさえ頻繁に環境が変化するAI界隈では年払いはかなりリスキーかと。

それぞれの契約プランや値ごろ感などは後述しますので、さっそくfal→Magnificの順で使い勝手を見ていきましょう。

fal.aiを使ってみよう

まずは開発元のfal公式で、無料枠でH3 Max動画を1本生成するところまでやってみましょう。falには日本語表示機能がありませんので、Chromeなら「右クリック→日本語に翻訳」、またはアドレスバー右端の翻訳アイコンでページごと翻訳して使わないとなりません。

fal.aiを使ってみよう:図版1

無料生成はこちらの画面から。「無料で生成」ボタンを押すと次の画面に飛びます。以下、画面は機械翻訳したスクリーンショットです。

無料サービスでは開始フレームの指定のみ可能。アスペクト比を指定するか「画像」ボタンから1枚入力して、英語プロンプトを記入し、「生成する」を押せばOKです。「彼女は笑顔で手を振っている」とだけ入力すると、3秒どころか0.8秒で5秒動画が出力されました。

fal.aiを使ってみよう:図版2

ただ、この画面でミナちゃんの画像を入力して同じプロンプトで生成しようとしたところ、このようなエラー画面が繰り返し出てしまい、生成できませんでした。

fal.aiを使ってみよう:図版3

この画面は「とりあえずH3 Maxの爆速t2vを体験したい」人向けのデモだと思っておいたほうがよさそうです。右下の「遊び場でもっと遊ぼう」ボタンを押すと、「Playground」と呼ばれるfalのメイン生成画面に飛ぶことができます。

fal.aiを使ってみよう:図版4

<falの料金、高い?安い?>

falの料金はすべて従量課金制で、動画モデルは「1秒いくら」、画像モデルは「1枚いくら」の単価が各モデルのページに書いてあり、使った分だけ課金される仕組みです。上のスクリーンショットでは、右下部分に「動画の料金は、480pでは1秒あたり0.025ドル、768pでは1秒あたり0.04ドルです。注:これらは期間限定のプロモーション価格です。50%オフとなります。割引は9月1日に終了し、それ以降は480pが1秒あたり0.05ドル、768pが1秒あたり0.08ドルとなります」と書かれているのがそれです。

プロモーションが終わったあとのH3 Maxの生成料金は、768pで1秒0.08ドル(約13円)。5秒動画1本で0.4ドル(60円強)、15秒で1.2ドル(約190円)という感じ。一方、Seedance 2.0は1秒0.3ドル、15秒で約4.5ドルですから、だいたい単価は4分の1ほどという感じでしょうか。支払いにはクレジットカード登録が必要で、登録時に1ドル分の無料クレジットが付きます。

クレジット登録はこちらから。

画面内に見える「偽エージェント」という邦訳が気になりますね。これは8月に登場したばかりの「fal Agent」というユニーク機能のこと。画像や動画、音声などの複数モデルをどう組み合わせるべきか、falのエージェントとチャットしながら創作を作れる新機能です。

falの料金、高い?安い?:図版1

falは基本的に従量課金制なのですが、fal Agentを使う場合は月額課金制も選べる仕様になりました。ただし、200ドル課金してfal Agentが使用可能になり、200ドル分のクレジットをもらえるだけなので、そこまで従来の従量課金制との違いはありません。

「クレジットを追加」ボタンをクリックするとメールアドレスと住所を聞かれるので、英語で入力。すると購入画面に飛びます。25ドルからの表示になっていますが、「Custom」欄から好きなクレジット数を指定することもできます。

falの料金、高い?安い?:図版2

ちなみにNovelAIに続きここでも、VISAカードが拒否される現象が起こりました。ApplePayが使えたので無事支払えましたが、VISAカードは海外決済チェックが厳格ですね…。そして手数料込なのかドル換算が妙に高い!

falの料金、高い?安い?:図版3

とりあえず10ドル分だけ課金できたので、さっそく有償生成を試してみましょう。